蕩けてしまいそう




昨日の晩から始まった準備は朝まで続いた。やっと自分の仕事が終わって許可をもらったは目的の部屋へと急ぐ。途中、小十郎に会い早く行くようにと珍しく急かされた。

「はぁ、はぁ、はぁ」

が辿り着いた部屋の戸は全部取り払っていて、中も畳がない。具足で傷めない為だ。中には椅子に座り目を瞑っている政宗がいる。その姿に心臓が大きく跳ねた。

「Be slow in coming」 (遅ぇ)
「I'm sorry.割り当てられた仕事が終わらなくて」

目を開けた政宗がこっちに来いと指図してきたのでそれにならい、足を踏み入れる。
会議中、一度も踏み入れたことがなかった部屋だ。そして具足姿の政宗もこうやって生で見るのは初めてだ。

今回は、相馬辺りの暴動の鎮圧に行くらしい。詳しいことは教えてもらっていないが政宗が戦闘モードで行くということはそこそこ危険なのだろう。なのに私という奴はさっきから不謹慎なことばかり考えている。

「息が乱れてるぜ。走ってきたのか?」
向かい合い、小十郎に見つからなかったのか?という問いには上下する肩で微笑んだ。

「喜多さまに見つからなければ走ってもいいといわれました」
「HA!そりゃスゲーな、明日は雨でも降るか?」
「………かもしれませんね…」


鼻で笑う政宗の表情はいつもより固い。いつもは見上げる角度が反対になっているからかもしれない。

「安心しな。今回の戦はそんな危険なものじゃねぇよ」
表情を読み取ったのか、政宗は薄く笑うと右手をの頬に添える。ごわごわと固い籠手をそっと握りしめると自分の頬に押し付けた。


「早く、早く帰って来てくださいね」
「Of course.」


天下を求める政宗がこんなところで負けるはずはないけど戦は戦だ。怪我だってあるだろう。本当は無傷で、ていいたかったけどそれは飲み込んだ。
まるで子供がおねだりするみたいな言葉に自身が不安になる。さっきまで笑顔で見送ろうって思ってたのに。

逆に心配させてたらどうしようと考えていると頬に押し付けていた手を抜いた政宗がの後ろ頭に回し、自分の方に引き寄せる。

「……ん…」

合わさった唇は少し冷たくて柔らかい。そんな感触がわかるくらいゆっくりの唇を吸って食んでくる。上、下とじっくりキスをする政宗にはどうしたらいいのかわからなくて、頭が真っ白になった。
そのうち体に力も入らなくなって彼の肩を掴むと首に巻きつけるように誘導され、彼の手は腰に回される。いつの間にか視点が逆転していて、は政宗の膝の上に座っていた。


「はぁ…政宗…さ、ま…」
「My cute kitty.俺が帰るまでちゃんと待っていられるか?」

とろんとした目で政宗を見上げれば、彼は可笑しそうに頬をくすぐり答えを即してくる。勿論だと頷けば「いい子だ」と額にキスをされた。


「さっさと戦を終わらせて帰ってくるぜ」
「はい」
勿論勝ち戦でな。ニヤリと笑う政宗がいかにも悪戯っ子に見えるのはなんでだろう。


「宴の後は、二晩は部屋から出れないと思っておけよ」
「え?」

「手解きもその後も全部俺が教えてやる。だからそれまで誰にも絆されんじゃねぇぞ」




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2011.09.27
英語は残念使用です。ご了承ください。

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