微笑ましいねぇ




「えっと私がいた場所は確かこの辺でした。近くに縁側が見えたので」
「それでこの道を通ったの?」
「いえ、そこで右に曲がったのでこっちだと思います。通ったのは納屋みたいな木戸ばかりの場所だったから…はい、そうです……ただ、どこも同じように見えてたからちょっと自信ないんですが」
「それでもいいよ。それからどこの道を通ったの?」

大阪城内の地図を広げの監禁場所と脱出した道のりを佐助が確認してる少し離れたところで、慶次は真剣に話す2人を欠伸混じりに眺めていた。

痛めた背中も大分良くなり起き上がれるようになったは、豊臣に囚われていた時の話を甲斐に提供している。入り組んだ大阪城の情報は思ったほどないからだ。
「だからここ通れなかったのか」と佐助が筆で修正するほどに忍泣かせの城らしい。それは自ずと実力を試されるものだから佐助の目が爛々と輝いているのは気のせいではないだろう。

それを眺めてる俺はというと、秀吉関連なのと難しい話に飽きて今は寝転がりながら夢吉と戯れている。


「Hey !…なんだ、てめぇら」
ここはの部屋だぞ。そういって襖を開けた政宗も了解なく部屋へと入る。

「城の見取り図を確認してもらってるんだよ。昨日真田の旦那と話したでしょ」
「俺は遊びに来ただけ」

部屋に独りぼっちなんて寂しいだけだから紛らわせに来たんだけどその時から佐助が部屋にいたので手持ちぶさたになっている。そういやかれこれ半時(1時間)経ってないか?

「政宗さまはどうしたんですか?」
「Ah?まぁ俺は後ででいい」

そういって政宗は頭を掻き襖の近くに座った。珍しく歯切れが悪い。そんなこともあるのかとまじまじと見ていれば政宗の目付きが鋭くなった。どうやら気づいたらしい。


「えーと、こう行ってこうだから…こっち、だったかな」
「でもこっちだと行き止まりだよ」
「ああそっか。スミマセン、出口がここだからこっちな気がして…」
「うん。ゆっくりでいいよ」

なかなか思い出せないに佐助は大丈夫と寄り添う彼女に微笑みかけた。元々怪我人のの負担を減らす意味合いで肩を貸しているらしいが端からみたら仲のいい兄妹かそれ以上だ。
あ、政宗が顔を引きつらせてる。佐助が膝の上にあるの手を握り返したからだろう。その辺気にしないは慣れてるのか鈍感なのか。

。Come on!」
「へ?はい」


政宗に呼ばれ、素直に従うは政宗の傍にちょこんと座る。話を聞き落とさないように背筋を伸ばすがなんとも可愛らしい。
具合とか欲しいものはあるかとかそんな他愛のない会話をして、それから政宗は何か耳打ちしての顔を真っ赤にさせると楽しそうに笑った。

「な、何いってるんですか!」
「Honey.顔が真っ赤だぜ?」
「誰のせいですか誰の!」

憤慨する割にの表情は柔らかい。握られた手を振り払わないのも本当は怒ってない証拠だろう。視線をずらせば佐助が無表情に地図を眺めてる。しかし筆と視線は動いていない。考えているというよりは話を盗み聞きしてるようだ。

そんな2人を見ていたらなんだか面白くなってきて慶次もを呼んでみた。


「もう!なんで3人共微妙に離れてるんですか!」

私怪我人なんですけど!そういいながらも俺の前に座るが可愛くて頭を撫でれば、奥の方から冷たい視線が飛んでくる。

「?どうしました?」
「いや。見てて飽きねぇなあって思ってさ」

おーおー睨んでる睨んでる。首を傾げるに今度また城下町に行こうな、と誘えばあからさまに殺気が飛んできた。あんまりからかうと八つ裂きにあいそうだったので笑顔で頷くの頭を撫でて送り返した。




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2011.12.27
英語は残念使用です。ご了承ください。

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