そして竜に囚われる
「………」
「………」
なんでこっち見てんのさ。横目で確認すればさっきまで書類を見ていた政宗の目はまっすぐこっちに向いていて、しかもニヤニヤ嬉しそうに笑っている。その不気味な笑顔に内心引いていると「」と呼ばれ、溜息混じりに向き直るしかなかった。
「なかなか尻尾を出さねぇからどうかと思ったが…お前、南蛮語を知ってるな?」
「………いいえ」
「顔、引きつってるぜ?」
ちょんちょんと自分の顔を指差す政宗に、の口が更に引きつった。この人始めからハメるつもりだったのか…っ
「Why didn't you say?」
「どうしてって…それは、あまり得意じゃなかったし今更いうのも」
「小十郎に説教されそうだったから、か?」
「うっ…Yes」
「クククっ I understand how you feel」
気持ちはよくわかる、といって政宗はくつくつ笑うので、ムッとしたけど段々怒ってるのも馬鹿らしく思えてもへらりと笑った。
上機嫌に手招きする政宗には大人しく近づくと彼のすぐ目の前に座らせられた。あまりに近い距離に笑顔を引っ込めると彼は懐から例のシルバーネックレスを取り出す。
「悪かったな。これは返すぜ」
「え…?いいの?」
「Sure.元々お前のものだしな」
「………」
両手を差し出し、ネックレスを返してもらったがは悩むようにじっとそれを見つめた。
子供の手だとこんなにも大きく見えるのか…。
「あの…政宗さま。これを預かってもらえませんか?」
「Why?」
「私より政宗さまが持ってる方がいいと思うんです。それに私が持ってても失くしそうだし」
なんとなく、ただなんとなくだが政宗にこのネックレスを持っていてほしいと思った。首から提げても似合うだろうし、ただ持っててくれてもいい。
邪魔でなければ、と伺うように上目遣いで政宗を見上げると彼は驚いたような顔をして、それから左目を細め「OK.俺が預かっといてやる」と竜のシルバーネックレスを受け取ってくれた。
ホッとして微笑むと政宗も合わせるように口元を吊り上げ、その顔に似合うようなとんでもない発言をした。
「なぁ。ここに住まないか?」
「え?」
「小十郎の畑の土いじりもいいが、この城もなかなかinterestingだぜ」
えー…っと。小十郎さーん…。
「Hey.小十郎に聞くのはナシだ。俺はお前に聞いてるんだぜ。You see?」
「で、でも私小十郎さまのとこでお世話になってますし…」
「。この奥州を治めてる主の俺と小十郎、どっちが大事だ?」
目で小十郎を呼ぼうとしたが顎を捉えられ、無理矢理視線を合わせてきた。
不敵に笑う政宗がなんとも怖い。目がマジだからだろうか。
「…ずるいです。職権乱用ですよ…」
「HA!随分 Difficult word を知ってるじゃねぇか。益々興味がわいたぜ!」
「げっ…」
墓穴を掘った!といわんばかりに顔を引きつらせるとは対象に政宗は更に笑みを深める。最近じゃ農民出の孤児が小十郎の家で居候してるって設定で人生を謳歌しようかなって考えてたのにこの隻眼の青年は次々私の中を掘り起こしてしまう。
そのうち年齢とか別世界の人間とかまでバレるんじゃないか?
「Well, how do you do?大人しくここに住み着くか…それとも、無理矢理手篭めにされるか」
「う、わぁ〜い!政宗さまと一緒のお家に住めるの嬉しいなぁ!」
掴まれてる顎を強く引かれ、今にもキスできそうなくらいの距離でさらっと怖いことをいった政宗をはスルーした。選択ですらないんだもん、棒読みになっちゃったのは仕方ないと思う。
その上手篭めっていったし!ダメだよ、そんなことしたら幼児虐待の犯罪者だよ!!…て、何笑ってるんですか?!そういうことは冗談でも笑えないんですからね!
「ククっ…sorry.お前の顔がクルクル変わるのを見てたらな……You're cute.」
「うっ……」
可愛い、といわれては顔が真っ赤になった。半分バカにされてる気もするけど、あの政宗にいわれて嬉しくないわけがない。まだ笑ってる政宗に(笑いすぎだ)大きく息を吐いたは、身形を正すと少し下がり指をついた。
「政宗さま。その…不束者ですが、今後ともよろしくお願いいたします」
本人はいたって真面目に頭を下げたが、いわれた相手は爆笑し転がったのはいうまでもない。
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2011.05.18
英語は残念使用です。ご了承ください。
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