呼び出し




政宗の予告通りとまではいかなかったが、怪我した足もようやくかさぶたを残すくらいですっかりよくなったある晴れた日、は小十郎と一緒に政宗が住んでいる米沢城の門をくぐった。
その際門番の人が「片倉様!おはようございます!!」、「ちわっす!」など、まるで不良の溜まり場かヤのつく事務所に入ったようなお辞儀をするので変な感覚に陥ってしまう。前を歩くヤの人は(既に断定)普通に返してるし。
屋敷内に入れば、背中に突き刺さる視線視線視線。まるで針のむしろにいる気分だ。


「小十郎さま…本当に、本当に行かなきゃダメですか?」
「政宗様直々のお呼び出しなんだ。弱気なこといってねぇで堂々としてろ」

ヒソヒソと小十郎にだけ聞こえるように囁いたに彼はまっすぐ前を向いたまま返してきた。確かにお世話になったし文句をいえる立場じゃないですけど、この興味本位の視線が怖いんですよ…っしかも連れてってくれるっていったのに当の本人は仕事で缶詰だっていうし。

「挨拶したらすぐ帰らせてくれますかね…?」
「……」

何かいってよ!小十郎!!
うわぁん!と半泣きで追いかけていると政宗が仕事をしてるという執務室に辿り着き、小十郎に習って渋々座った。政宗の了解を得て中に入ると、膝を立て悩ましげに紙を捲る政宗の姿があってちょっと拍子抜けした。
てっきり締め切りに追われた作家のような光景かと思ってたんだけどな。


「政宗様。を連れてまいりました」
「Ah.ご苦労だったな小十郎。も連れて行くっつったのに悪かったな」
「いえ、勿体無きお言葉にございます」
「………」

深々と頭を下げれば変な沈黙ができ、焦った。もしかして間違ったこといったかな?と横にいる小十郎を見たが視線は政宗を向いたままだった。


「小十郎は仕事に戻っていいぜ」
「はっ!」
はここに残って俺の話し相手だ」
「……は?」

なんですと?

「ですが政宗様。がいては仕事に差し支えるのでは…」
「No problem.見張り代わりだ。代役が出来てお前の仕事も1つ減っただろ?」
「…そもそも政宗様が日頃から執務をこなしていただければ見張りなど必要ないのですが」

「…チッ相変わらずJokeが通じねぇな。だから成実に石頭っていわれるんだよ」
「石頭で結構。、お前は帰っていいぞ」
「Wait a moment!もう帰すのかよ?!……… Ah わかった。少しだけ時間をくれ。と話がしたい」


小十郎をからかおうとした政宗だったが、本日の勝負は小十郎に軍配が上がったようだ。くれぐれもさぼらないようにと、念を押すオトンになんだか涙が出てきた。


「OK.は大事なplaythingだからな。キリのいいところで帰してやるよ」
「…?!」


かっちーん。
ちょっと待て政宗。おもちゃって何よ、おもちゃって!小十郎も何「話が終わったらお呼びください」よ!この殿様私で遊ぶ気満々ですよ?!「粗相がないようにな」って!待って!どう考えても注意すべきは政宗の方でしょうが!!

ええええっ?!と内心叫んだだったが小十郎の耳には一切届かず、襖が閉じられてしまった。




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2011.05.18
英語は残念使用です。ご了承ください。

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