良かったのか悪かったのか
「幸村」
にこやかに幸村と見合っていればずっと見守っていたあの人が声をかけてきた。その声にドキリと心臓が跳ねる。怖いわけじゃないけど背筋がピッと伸ばしたくなるような声だ。
「!失礼いたしましたお舘様!!こちら殿と申します!先日、とても美味な団子をわけていただきました!」
「ほう。それで仲睦まじくなったのか」
「はい!」
幸村、団子の件も全部教えちゃっていいの?それって大人としてヤバいんじゃ…幸村だからいいのかしら。
を抱えたまま真っ赤な山、もとい武田信玄に駆け寄った幸村はそのまま紹介をしだした。せめて下ろしてほしいんだけど…と、視線を幸村に送ってみたが相手はキラッキラとした目で信玄を見てるせいで気づきやしない。
「御前失礼いたします。初めてお目にかかります。と申します」
「うむ。そなたの話は聞いておる。此度は災難であったの」
「勿体無きお言葉です」
仕方ないのでそのまま挨拶するとさすが武田信玄というか、目くじらも立てずにちゃんと返してくれた。やっぱお舘様の雰囲気好きだわ〜頼りになるっていうか安心するっていうか。
「幸村が世話になったな。こやつは甘味となると見境がつかんことがある。他国故わきまえておると思うが迷惑をかけなんだか?」
「迷惑など…むしろ私の方が幸村さまによくしていただきました。1人では寂しいだろうと話し相手になっていただきましたし」
「ほう。幸村がの」
にこにこと幸村を見れば彼は少し照れくさそうに笑い返してくれた。初々しいなもう。頭撫でたくなるよ。
そんな2人を見て信玄はうんうんと頷くと「天晴れじゃ!幸村!!」と声を張り上げる。やばい、殴り愛でも始まるのかな?そうビクビクしていたが人様の家のせいかこれ以上大きな掛け合いにはならなかった。ちょっと残念かも。
「、」
「はい!」
「傷が癒え、落ち着く頃にはこの戦もひと段落してる頃だろうて。その折にはこの甲斐にも足を伸ばすといい」
目を細めた信玄は傷を労わるように避け頭を撫でた。大きな手だから凄く気遣ってくれてるようだ。甲斐に遊びに来い、だって!どうしよう、今すぐ行きたいんだけど!!でも政宗許してくれないよなぁ。
まぁ、頷くくらいはいいよね?社交辞令ということで。
「Hey!そこで何話してんだ?!」
「政宗さま!」
「?!…真田!テメェ何俺のkittyを抱えてんだよ!」
「おおっ政宗殿!殿をお借りして申し訳ない。某が見送りをお願い申したのだ」
「は?ちょっとまて。俺はOKなんか出してねーぞ」
「私も存じ上げておりません」
達を囲む人だかりをかき分け入ってきた政宗は私を見るなり目を見開いた。
その様子にと幸村が顔を見合わせる。私も彼も政宗は知ってると思っていたようだ。その上後ろに控えてた小十郎も知らないとくる。
え?と声を漏らせばまた身体が宙に浮き、また佐助に抱えられた。なんだかたらいまわしされてる気分だな。
「あーはいはい。ちゃんはお返ししますよっと」
「待て猿。もしやテメー」
「佐助さん。もしかして」
「だって、一々許可貰おうとしてもくれないでしょ?あんたら」
ちゃんに俺様達帰ること教えてなかったし。といわれも政宗を見た。あ、目を逸らした。目を泳がせる小十郎に呆れた顔で見ていれば耳元で「また近いうちに来るから。例の件楽しみにしてて」と佐助が囁き私を下ろした。
振り返ればウインクした佐助がの頭を撫で離れていく。例の件ってなんだろう?と思ったがこの時のは思い出すことが出来なかった。
「では殿!政宗殿!片倉殿!」
「はい。道中お気をつけて」
「HA!俺にやられる前に倒されるんじゃねーぞ!」
手を振る幸村にも手を振り返す。政宗は挑発的な言葉を吐いたが幸村は笑顔で「承知した!」と返してきた。なんか少年漫画を見てる気分だ。
とても清々しい別れに小さくなっていく背を眺めていると、ふとあることに気づきは振っていた手を止めた。
「What's wrong?、お前なんか変なものでも食べたか?顔が変だぞ」
「食べてませんよ…ていうか、顔が変ってどういうことですか!」
「どうしたんだ?何か気になることでもあったか?」
「いえ、別に…」
微妙な顔つきのに気づいた双竜はこぞって顔を覗き込むがは応える気はなかった。だっていえる訳がない。幸村が私のこと女って思ってるのかな、なんて。
「私が子供だからかな…」
「What?」
破廉恥でござる!って聞けなかったことがなんとなく心残りだったが、自分の体形を見てそれは無理かと溜息を吐いた。
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2011.08.31
英語は残念使用です。ご了承ください。
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