密談




日も暮れ、用意された燭台にも火が点された。上座に座ったまま目を閉じているとスッと火が揺らめくのがわかり瞼を開ける。

「様子はどうだ?」
「今やっと寝に入りました」

入ってきた小十郎に問えば「まだ熱は下がりませんが」と加えられ俺は息を吐く。傷の影響では高熱を出した。小十郎の屋敷に戻る途中で気がつき薬師を呼んだがこればっかりはどうしようもねぇ。
さっきまで様子を見に行っていた小十郎は眉間に皺を作ったまま難しい顔で俺の前に座った。

「あの村を襲った野盗は捕まえたんだな?」
「はい。取りまとめていた頭を含め28名全て取り押さえております。ただ、あの娘が持っているような南蛮渡来の品はどこを探してもありませんでした」
「そうか…That's what I thought」

じゃらりと懐で動いた物を取り出す。見たことのない装飾に、この国で作られたものでないことはすぐにわかった。
海に近ければ南蛮の物を手にする機会もあるだろうがあの村は海から程遠く南蛮の物を買える金額などあるはずがない。は『祭り』といったがこんな物を売るような行者は報告されてなかった。


「もう少し厳しく取り調べましょうか?」
「いや。その必要はねぇ」

どうせ調べたところで何も出ないだろう。あの野盗の頭も元はあの村の出の者だ。己の村を潰せる奴に望む答えが得られるとは到底思わない。
弄ぶように手の中にあるNecklaceを動かしていると小十郎が身を乗り出し俺の名を呼んだ。

「あの娘、いかがいたしましょうか」
「……お前はどう考える?」
「出自、その後の行動などとりわけ不信な点はありませんが、白というわけでもないでしょう。それにその怪しげな品もいささか気になります」
「Hum..竜の形だからな」


竜は俺のmotifであり崇拝の対象だ。その竜を持っているってことは竜に仕えてるか竜そのものかもしれねぇ。


「ククっ小十郎。お前はあのgirlを神の化身か妖と思うか?」
「そ、それは…」
「All right.好きなだけ調べな。この品もやりたきゃ祈祷なり祓いなりすればいい」
「政宗様…」
「お前が納得するまで待ってやるさ」

忍も使えばいい、という俺の言葉に小十郎は大きく目を見開き、それから深々と頭を下げた。鈍く光る竜を燭台にかざし政宗はフッと微笑む。手放す気はない。


「こんな近くで南蛮語を理解し、面白そうな奴を拾ったんだ。You mustn't miss such a good opportunity.」




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2011.04.27
英語は残念使用です。ご了承ください。

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