覚めない夢・2
再び瞼を開けたは周りを確認して違和感を感じた。私なんで布団の中にいるんだろう。確か蔵にいなかったっけ?
「目が覚めましたか」
「!?き、喜多さま!」
襖が開き、光と一緒に入ってきた人物に驚いた。入ってきたのは女中に厳しいと有名なあの小十郎の姉で、自分は何かやらかしてしまったのかと焦った。それで慌てて身を起こすと、何故か怒られてしまった。
「病人なのですから。無理に身体を動かすものではありませんよ」
「は、はぁ」
なんで病人なのだろう、と不思議な顔をしていれば喜多は呆れた顔で色々教えてくれた。
政宗や小十郎、それに城のみんなが総出でを探してくれたこと。見つけた時には凍傷になりかけてて大変だったこと。高熱を出しみんながつきっきりの看病をしてくれたこと。それを聞いてありがたいやら申し訳ないやらいろんな気持ちが混ぜこぜになった。
「政宗様もいたく心配しておりましたよ。何度か看病もされたようですし」
「政宗さまが!?」
ウソ!お殿様に看病されるってどうなのよ!いや、嬉しいけど!だから夢に政宗が出たのかな。ああでも、仕事大丈夫だったのかな。
「ご、ごめんなさい。ご迷惑かけました」
「皆あなたを大事に思うからこそとった行動です。感謝こそすれ、悔やむことはありませんよ」
「喜多さま…」
「ですから今は養生し、元気な姿を皆に見せることだけを考えなさい」
「はい…っ」
喜多の優しい言葉に涙すれば彼女は笑って「幼子ではないのですから」と袖で涙を拭いてくれた。まるで母親のようなあたたかさには自然と笑みを浮かべた。
「!!起きたか?!」
しばらくしてドタドタ騒がしい足取りが近づき、のいる襖が開かれた。思いきり開け放つ政宗に喜多は呆れた顔になったが口にはせず、自分がいた場所を明け渡し後ろに下がった。
「政宗さま…ごめんなさい。心配かけて」
「totally!世話のかかるKittyだぜ」
まったくだ、という割には抱きしめる腕の強さが半端ない。まさか抱きしめられるほど心配かけてるとは思ってなくて驚いたけど彼の腕を優しく擦れば少しだけ緩めてくれた。
襖の向こうでは小十郎が控えていて、こちらも嬉しそうに見てたからありがとうと一緒に微笑んだ。
ああでも、私の夢はまだ覚めない。
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2011.05.06
英語は残念使用です。ご了承ください。
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