image

グッバイ・ユーテラス



(11)


※ 以下には、性的表現があります。



カルデアから最後の魔術師が来ると視た時、マシュ・キリエライトの他にもう1人、女がいることも視えていた。その女の顔に見覚えはなかったがすぐに誰かはわかった。
はじめは呪いの言葉でも吐き、我を殺すつもりなのかとも思ったが女は生前同様ウルクや我に尽くす為に戻って来ただけだった。

「んん、…っ」
掌を滑らせ丸みを帯びたふくらみに指を埋め形を変える。弾力のある柔らかい感触を存分に味わい、硬く立ち上がった先端を弾いてやれば快感を滲ませた嬌声を漏らす。
魔術回路を辿るように滑らかな柔肌に指を滑らせればそれも心地よいといわんばかりに喘ぎ、身体をしならせた。

悶える肢体に先程見えたノイズは見えない。届けられなかった忘れ形見を手渡した際にの姿が大きくノイズが走り消えてしまうかのように揺らいだのだ。

ジグラットに報告しに来る度にこの女の身体が日に日に薄くなっているのが見えていた。カルデアの者達がそのことに気づかないというのもありえない話だろう。だとすれば我にだけにわかるように合図をしていたことなる。
触れてみた感覚は他の者と変わらない。透けるわけでも、今すぐに冥界へ連れて行かれることもないだろう。恐らく、ウルクに戻り我の姿を見て安堵したか元からあった余力が尽きようとしているのだろう。


「…それで、その夢のせいで貴様が雑種らと同行することになったと?」
「はい。夢以外にも、先祖を辿ってもらって一応関係があると出たので…でも、さすがに前世かどうかまでは、ぁ…ん」
「そこは当人同士にしかわからんだろうな。見た目ではなにひとつ重ならん。中身も感度も違う…あるとすれば魂だが、」

柔肌の感触を味わいながらウルクに来た経緯を聞いてみたがなんとも稚拙で危うい理由だった。我が作戦を立てたなら絶対に入れない案件だ。それほどまでにカルデアの人事は困窮を極めているのだろう。

半ば予想はしていたがこれほどとは予想していなかった。かといってこちらから何かできることは殆どない。
今はこれ以上カルデアに欠員が出ないよう、用立ててやるかと吸い付いた肌から口を離した。


動きを止めたギルガメッシュは短く息を吐くと組み敷いたままの頬に手を宛てた。いきなり中断されたは訳が分からない顔をしたが合わせられた視線から逃げようとはしなかった。

「――。貴様の至高の作、確かに受け取った。これがあればどんな死地に行ったとしても必ず帰ってこれよう……大儀であった。後のことは任せしばし休むがいい」

肌の色も、髪も、目も、全てが別人でありあの女の名残などないと思ったが、いい終えた瞬間、生前の彼女の顔が嬉しそうに微笑み、そして瞬きと一緒にの顔に戻った。

「ギルガメッシュ王…」

驚き固まっているになんとなく視線を逸らしたが重ねられた手に気がつき、戻した。
を見ると驚いた顔のまま涙を溢れさせその雫がギルガメッシュの手にも伝い落ちる。そしてゆっくりとした動作での顔が歪み涙が後から後から零れ落ちた。


「王様。胸が痛い…」
「そうか…」
「締め付けられるように痛い……けど、同じくらい嬉しい、みたい」

これ多分、彼女の気持ちだと思います。と零すは自分のことのように微笑み、あてられたギルガメッシュの手に嬉しそうに頬擦りをした。その甘えるような仕草にギルガメッシュはトクリとして、目を細める。

押し込めていた欲に急かされるようにの胸を押し潰し頬に残る水痕を舐めとると、さっきまで満ち足りた様子で微笑んだ顔が驚き動揺で頬が染まっていった。

「嬉しい、か。呑気なものだな。ヤツは貴様を供物にして我に差し出したというのに」
「?!……え、まさか」
「まさかも何もこの状況を見てまだわからぬとは……貴様は好きでもない男と寝る趣味でもあるのか?」

わざとらしく溜息を吐けばは顔を更に赤くし狼狽える。
己は数多の女を散々好き放題してきたクチだったが「そ、そんなわけないじゃないですか!」と叫ぶを愛らしいと思う程度には誰かの手垢がついていないことを喜んだ。そうでなくては面白くない。


「これは、魔術回路を起こしてもらう為であって、決してセックスでは」
「セックスをしなければ魔術回路は繋がらんぞ」
「…っっ」

くだらないことをいって現実から目を逸らそうとするにつきつけてやればいよいよ赤い顔で泣きそうになっている。
これはこれで加虐心がくすぐられるな、と腰に巻かれた布の隙間から手を差し入れ内股から脚の付け根を撫でてやれば面白いほどに身体が跳ねた。

「勘違いをするなよ。この身体は正真正銘貴様のものだ。この時代に生きた者は夢の中にしかいない。我を受け入れるのは貴様自身だ」

魔術回路だのと言い訳を置いて盾にするな。と秘部に触れれば滴る程に湿っていた。を見れば顔を逸らし、その横顔がじわじわと赤みの範囲を広げている。
指を折り曲げ突起に触れるだけでのふっくらとした唇が堪えるようにわなわなと震えるのが見えた。

「それともここで止めるか?」

指を緩く動かす度に引き結んだ唇の間から短く吐息を漏らすに余裕をもって耳元で囁けば彼女は驚いた顔でこちらを見、そして泣きそうに顔を歪め視線を逸らす。
その羞恥で悩む顔を眺めながら湿った指を内股に移し5本の指で撫でてやれば太腿に挟まれた。思った以上に感じているらしい。

引き抜けなくはなかったがその柔らかさを味わいつつ動く親指で揉むようになぞってやると肩がまた揺れ、潤んだ瞳がこちらを向いた。いつぞやの者を思い出しても似つかない瞳だった。


「や、めないでください…」

不安と羞恥に染まった顔がギルガメッシュに映る。他人に身体を簡単に許せるほどの人間ではないことは見てすぐに分かったが、逃げ場所を作るべきではないと思った。

元々夢の中で同化しかかっていた魂が力を使い切ったことで繋がりが切れかかっているのだ。魂の欠片でも残骸でもこのまま消滅させてやるのが正解だろう。
だが、もしここでが回路の為だとかヤツの為に身体を許したと思い込めば繋がりができてしまう。

"普通の人間"に過去を蓄積した記憶は無用だ。特異点になりうる可能性は低いだろうがカルデアが修正してきた特異点を考えると、この繋がりもバカにはできない。憂いは早めに払拭しておく方がいいだろう。

そう思いつつを見ていれば、その瞳から欲を孕んだ妖艶さが滲みだしている。
薄く開いた口が物欲しそうに赤く濡れていてこのままむしゃぶりつきたい気持ちにさせられた。この高揚した感覚や腰が疼くなんていつぶりだろうか。


「ギルガメッシュ王だから…です。あなたに触られるのは嫌じゃ、ないから。ギルガメッシュ王だから身体を許してもいいと思ったんです……えと、その、できればもっと触ってほしい、と思ってま…ぅん」

最後の方は消え入りそうな声だったがギルガメッシュの耳にはしっかりと届いた。何よりさっきからもじもじとギルガメッシュの手を挟みながら太腿を擦り合わせているのだ。隠しようもない。

初々しくも淫らな彼女に笑みを漏らしたギルガメッシュは挟まれを手を引き抜き、赤く熟れた顔の顎に指をかけ唇を奪った。絡めた舌からは魔力が流れてくるのと同時にこちらを煽るような吐息と鼻声が鼓膜を揺らす。
奏でる嬌声をもっと聞きたくて秘部に直に触れれば予想通りの声色が響き、滴る蜜をかき混ぜるようにナカを貪った。


魔獣戦線を築き、英霊を召喚し、女神共や世界の終わりと対峙してからろくにこちらの方を鑑みていなかった。
実際は全てが目まぐるしくそこまで必要としていなかったが、こちらに時間を割く余裕もなかったのだと今更気づき笑えてくる。

「まさか己の身体を使って強制的に我を休ませにかかるとは…してやられたわ」

まさかそんなことまで考えているとは思えないが、従順に乱れているを見たら休ませる口実に身体を差し出す、などと考える自分がたまらなくくだらなく感じ、その思考を打ち切った。

舌を吸い、首や胸に唇を這わせれば体臭とは違う独特の匂いがする。熱が上がれば上がる程その匂いは濃くなり、ごくりと喉を鳴らした。
まるで甘美な果実のような匂いに吐息を漏らすとその味を求めるようにの身体に身を重ねた。