グッバイ・ユーテラス
(18) ※Attention参照
報告も出来たしこれで帰れる、とホッと息をついて立ち上がろうとしたらギルガメッシュ王に睨まれた。
「誰が立ち上がってよいといった。話は終わっとらんぞ」
「え、でも…」
「我は全て話せと言ったはずだぞ」
報告すべきことは終わったはず、という顔をすれば「貴様の腹の話がまだであろうが」と怒られ蒼褪める。何で知ってるの?と思いつつも再び座ればこっちを見つめる赤い瞳をかち合い、思わず逸らした。
「あー…えと、これはなんといいますか…説明が難しいといいますか…」
お腹を両手で隠し、いい淀んだ。
はっきりと魔術回路を繋げた時に不具合で魔力がお腹に留まったとか、ちょっと変わってますができてしまいました、とか気軽に報告すればいいだけなのだけど、ギルガメッシュ王を目の前にしたら途端にその言葉が出てこなくなってしまった。
今更怖気づく私がいる。報告したらギルガメッシュ王はどう思うんだろう、冷たくあしらわれたらどうしよう、この非常時に何をしてる!と怒られたら、なんて考えて冷や汗が流れる。
自ら望んでこうなったわけじゃないけど、目の前の彼に拒絶されたらどうしよう、という言葉が回りだし言葉を失ってしまった。
こんなの自分らしくない。そうわかってるのに女々しく押し黙っていると布が擦れる音がし、肩が震えた。近づく気配に視線を上げようとしたが、それと同時にお腹の変化に気づき動けなくなる。
「。何を迷っている。我に隠し事など必要あるのか?」
「それは、ない、と思いますけど…」
ふわりと伸びた触手のような糸がお腹からゆらりと現れる。うっすらとクラゲのように透けたそれは擽るようにの手の甲を撫でたり纏わりついたりしている。
すぐ近くに聞こえる声にドキリとしながらも視線は落ち着かなく、気が気でなかった。
そんなの態度を不審に思ったらしいギルガメッシュ王は、の頬を捉えると無理矢理自分の方へと向けさせる。かち合う赤い瞳に心臓が跳ね、みるみるうちに頬が熱くなった。
「…」
ギルガメッシュ王の顔が近づいてくる。太腿にはもう片方の彼の手が這い、ゆっくりと付け根の方に指が動いた。布越しでも伝わる感触に下腹部がじくりとして温度を上げると手の甲を撫でていた感覚がふわりと消える。
それは治まったわけでも消えたわけでもない。お腹の子が魔力を欲してギルガメッシュ王に手を伸ばしてるのだ。そう分かった瞬間の身体に電気が走り無意識に口を開いた。
「めっ!」
気づかなかった時ならいざ知らず、お腹はある程度満腹になってるにも関わらず、悪戯げに欲を出すそれには本気で怒った。
無作法な、とお腹を睨みつけるとクラゲのような触手は伸ばしていたものを引っ込めお腹の前でふわりを消した。
言葉や気持ちがある程度伝わるのはわかってきたけど、叱ったのは初めてだった。
大人しくなったお腹に何とも言えない罪悪感を覚え、どうしよう、と動揺していると目の前でいきなり爆笑する声が響き渡り驚きと一緒に肩が跳ねた。
「くくくっ我と話している時に他に気をとられるとはなんという…しかもなんだ?その『めっ』とは…っ貴様は叱り方もわからんのか?」
いってる傍から噴き出すギルガメッシュ王には呆然と見つめた。多分、無視したことに文句をいいたかったんだろうけど、の叱り方が面白かったのか背凭れに寄りかかりながら腹を抱えている。
楽しそうなのはいいんですけど、「貴様がその変な叱り方をしなければ腹を掻っ捌いていたわ」というのは止めてほしいと思った。怖い。王様怖いです。そんなことされたら私死にます。
「まぁいい。貴様の腹にいるものはよくわかった」
「え、…!な、なにを…王様っ放して!」
笑いを収めたと思ったらこっちに来いと指で指示してきたので恐る恐る膝を進めると、いきなり腕をとられ彼の胸に落ちた。そして下腹の辺りに温かさを感じ視線を下げるとギルガメッシュ王の手がありパスが繋がる感覚がして目を見開く。
大人しくなったはずのお腹のものが蠢くのがわかる。ギルガメッシュ王の魔力を吸い付くように手を伸ばす感覚が嫌でもわかり胸を押して離れようとしたら背中に回った腕はビクともしなかった。
そして下腹部にあった手はそのまま下にさがり、の腕の力が抜け落ち彼の胸へもたれかかった。
「ギルガメッシュ王っ…っダメ…ダメですよ、こんな、これじゃあなたの魔力が…」
「構わん。腹も満たされれば大人しくもなろう。それに足らなくなれば貴様から補給をすれば良い」
繋がったパスで送られてくる魔力には息が上がり肩を震わせつつも必死に離れようとしたが、指の動きが気になってろくに力が入らなかった。
服越しとはいえ、秘部に宛がわれてる指が動く度泣きそうになっていると背中に回っていた手が後ろから顎を捉え、ギルガメッシュ王と視線が重なり合った。
真っ直ぐ見つめてくる瞳に心臓が大きく跳ねていく。このまま爆発しそうで、苦しくて、切なげに顔を歪めれば王様は楽しげに口許をつり上げた。
およそ王様の魔力を補えるだけのものなんてないはずなのに、指を使っての口を開かせたギルガメッシュ王は自らも口を開くと魔力補給という名のキスを施した。