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グッバイ・ユーテラス



(19) ※Attention参照


※以下には、性的描写が含まれます。



夢を見た。心地良い風に吹かれ、青空の元、隣には新緑の草原を思わせるような瑞々しい緑の髪をたなびかせる彼が居る。
あえて視線を向けて確認はしなかったがあのいつもの顔で傍らにいるのだろう。自分も土の匂いを感じ目を細める。

どこまでも行けると思った。このまま、親友と共に。いつまでも走れるのだと。

しかし青かった空がどんどん曇っていく。その雲からは雷鳴の光さえ見えた。そうして自分は武器を構える。
今度こそ守ろう、そう思う反面、今度とはいつだ?と問いかける。今度はもうない。失ったものはもう戻らないのだから。


*


瞼を開けると視界には明かりに照らされた豪華な絨毯が見えた。背中には温かな感触と温度、それにうなじに規則正しい呼吸が聞こえる。
絨毯と一緒に見えた自分よりも逞しい筋肉のついた腕を見た時に気づくべきだったが思考が拒否したのはいうまでもない。
恐らく夢もこの状態のせいでリンクしてしまったのだろう。勝手に覗き見てしまった気分になり、少し罪悪感が残る。

覚めた眠気にこのまま起きて帰ってしまおうか、と身じろいだところでお腹に回っていた腕に力が入りピタリと密着させられ驚く。触れ合う肌と肌にカァっと顔を熱くすると息が移動し、そのまま首を吸い付かれた。

「ん、…起きていたんですか?」
「散々抱いてやったというのに目覚めが早いな……まだ足りぬか」

そういいつつ、胸をを弄るギルガメッシュ王の声は少し寝ぼけていて触り方も散漫だ。悪戯に熱をあげられては困る、と彼の手を掴み制すると無防備だった耳を噛まれ、中を嬲られた。


「ふっ…ぅん、」

降りてきた指は明確にを刺激してきて息が乱れる。先程の熱はもうないはずなのに思い出したかのように燻りだし身を強張らせた。これ以上されたら大使館に帰れなくなる。
奥を暴こうとする指を必死に引き止め懇願する為に振り返れば声を発する前に唇を奪われた。魔力を貪るような濃厚なキスに息があがり、惜しむように離れた唇に瞼を開ければ殆ど覚醒した目とかち合いドキリとする。

「これ以上されたくなければ大人しく寝ていろ。夜明けまでにはまだ時間がある」
「……」
「なんだ、その目は」
「…だって、さっきは止めてくれなかったじゃないですか」

さっきのことを思い出し、恨みがましい目を気恥ずかしさに変えて逸らすとは子供のように口を尖らせた。

「中の子が流れるんじゃないかって、怖かったんですよ…」

果たして中にいるものが子供と呼べるものなのか、形成されているかは不明だけど、意思疎通ができるとわかってきて、愛着も湧いてきている。
母としての自覚はまだよくわからないけど、ギルガメッシュ王と繋がる瞬間怖いと思ったのだ。


中にあるものは脆く弱いものだということは知識として知っていたから、もしかしたらこれで流れてしまうのでは?と躊躇したのだ。結局ギルガメッシュ王は止めてくれなかったし、彼の気が済むまで啼かされここにいるのだけど。

まるでお腹の子に執着がないみたいで、私にも興味がないみたいで少し嫌な気分になっていると強く腕を引かれ反転させられた。
向き合う形で、しかも逃げれないように腰に回った手に身を固くすると「たわけたことをぬかすな」とやや不機嫌顔のギルガメッシュ王がを映した。

「貴様はもう我のものだ。無論腹の中にいる子もな。そうだというのにわざわざ己の手で失うようなヘマを我がすると思うか?」

バカなことも休み休みいえ、と呆れて溜息すら零す王様には固まって彼を見返すことしかできなかった。
動けないを他所にギルガメッシュ王は、片方の手を再びの下腹に手を宛てると労わるように撫でてくる。
魔力を欲した中の子はいつの間にか満足し、眠ったように大人しくなっている。

違和感を感じない分、ダイレクトに感触が伝わってきてぶるりとすればギルガメッシュ王に呼ばれた気がして彼を見やった。


「腹の中のこれは貴様が思っている以上に執着が強い。恐らく貴様の魔術回路にも憑りついている」
「え、」
「だから早々簡単に剥がれ落ちぬ。むしろ引き剥がそうとすれば魔術回路ごと持って行くつもりだぞ」

貴様の腹の中にいる子は余程貪欲な者らしいな、と鼻で笑うギルガメッシュ王に、少しムッとしたがそれ以上に彼を見れなくなって顔を逸らした。

顔が、耳が熱い。ギルガメッシュ王が"子供"なんていうから落ち着かなくなった。だってまだ半信半疑な部分があるのに。自分がいう分には特に気にしてなかったのに、ギルガメッシュ王にいわれた途端感情が舞い上がってる。

「…そういうことは先に教えてください…お陰で全然集中できなかったんですから」

寝起き早々振れ幅の大きい感情に"らしくない"と思いつつも、そういえば前回よりもペースがゆっくりで多分ギルガメッシュ王なりに労わりながら抱いてくれたことに気づき彼の胸に頭を押し付けた。どうしよう、嬉しくて仕方ないんだけど。
ぐりぐりと頭を擦りつけながら文句をいってみるが、内容はおよそその類ではなく、赤くなっている耳もギルガメッシュ王に丸見えだった。


「貴様という奴は…」
恥じらう顔も縋りつく様も愛くるしいまでに留めてやったが、情事に集中できなかったと聞いてヒクリと眉が動いた。
わざと煽り誘っているわけではないということはわかっていたが、わかっていても先程の行為が拙いものに感じていたといわれたみたいで少しばかり腹が立った。

さっきまでは寝かせてやるつもりだったがこのまま帰すのは癪だという気持ちさえ湧いてくる。勢いのまま身を起こすとに覆い被さった。
仰向けになったの赤く熟れた顔がよく見え少しは気も晴れたがそれでは足りないと口内を貪る。

とりあえず今日の仕事は休みにしてやろう。そんなことを考えつつ、腕の中の彼女を堪能すべく奥へと欲をねじ込んだ。