image

グッバイ・ユーテラス



(25) ※Attention参照


※ 以下には、性的表現があります。



そんながやっと落ち着いたのは深夜に入ってからだった。避難したウルクの人達の現状を受けてその報告をギルガメッシュ王にする為に夜道を歩いている。
結局仕事にかまけて対策のひとつも浮かばなかったけど、Dr.ロマン達に任せていれば大丈夫だろうか。

頭はぼんやりしていて身体もさすがに重い。いや、疲労は既にピークを振り切っていてアドレナリンだけで動いてる気もしなくもない。
とりあえずギルガメッシュ王に報告が終わるまでは気を引き締めないと、と玉座に向かったがそこにいるはずの王様の姿はなかった。

どこだろう、と辺りを見回したが兵士も1人もなく静寂だけが漂う。その静けさに少し不安になって足を動かした。


ギルガメッシュ王が普段どこにいるかは知らない。玉座か私室か。祈りの間もあるけどどれも違う気がした。
最後の日にウルク全てを見渡せるどこかにいるのかもしれない。そう思い見晴らし台に向かえば丁度ギルガメッシュ王がこちらに歩いてくるところだった。

彼の後ろでは鈍く光る月に照らされた長髪と白衣がたなびいている。もしかしてキングゥ?と驚いたが彼(?)は下を向いたまま微動だにしない。
一瞬、死んでいるのか?と目を見張ったがふらりと立ち上がったと思えばギルガメッシュ王に背を向ける形でどこかに飛んでいった。

「来い、

もしかして戦闘でもしたのだろうか、とギルガメッシュ王を伺うが血の匂いや傷は見られない。そこにホッと息をつけば腕を取られ引っ張られた。
ずんずんと進んでいくギルガメッシュ王に引っ張られながらは少し困惑した。不機嫌ではないけど機嫌がいい感じもしない。

憤り、不安、焦り…もし自分がギルガメッシュ王の立場ならそんな感情が湧きそうだけど生憎彼の気持ちは読み取れなかった。
ただ、口を開いたら、抵抗したらダメな気がして転ばないように小走りでついて行くとジグラット内にある通路に使っている場所でギルガメッシュ王が立ち止まり、を壁に押し付けた。

両手を壁につき、を閉じ込めるギルガメッシュ王の顔は夜のせいで殆どわからない。見つめられる視線の強さだけが妙にわかってしまってぶるりと身体を震わせた。まるで猛獣に狙われてるような気分だった。


「手荒く、抱くぞ」

彼の吐息がの唇をなぞる。湿った空気や近くに感じる気配から高い体温を感じて下腹部がジグリと疼く。
本当はこんなことをしている場合ではないだろう。けれどそれは愚問だと思った。

ウルクやこの決戦を第一に考えているギルガメッシュ王が自分を欲するのだ。憤りか不満か、溜めた行き場のない感情をぶつける為だとしても、求められたことが嬉しくて「はい」と慎重に頷いた。

「ぁ、でも、ギルガメッシュ王、報告が、」
「ああ。このまま聞いてやる。気にせず話せ」

いうが早いか彼の足が割って入り、ベルトに手をかけてくる。この時代にない道具なのに手慣れ手つきで外すと報告を待たずに口を塞がれた。性急に服の中に入ってきた手は既に熱く、ゾクリと身を震えさせる。

「は、ぁ」

少し強いくらいの強さで揉まれる胸に目を閉じると先端を指に挟まれそれと一緒に捏ねられた。引っ張られるような痛みにくぐもった声を漏らし、ギルガメッシュ王に縋りつけば引き離され壁に背中を打ち付けたと同時に舌が絡みついた。

嬲るように口内を荒らされ、胸を強めの刺激で昂らせていく彼には動揺しながらも彼を受け入れた。
壁に胸を押し付けながら挿入されたは初めて抱かれた時と同じくらいの激しさで奥まで貫いてくる。

その頃にはぞんざいな愛撫でも雫が垂れる程度には濡れていて、猛々しく獰猛な雄を難なく受け入れていた。


短く息を吐きながらは考える。夜が明ければ全てが終わる。ギルガメッシュ王とも会えなくなる。そう思うと無性に悲しくなって、そして虚しくなった。
思い出すのはマーリンの言葉だ。私はこの時代の人間じゃない。そう思うだけで心が締め付けられ悲鳴を上げたくなる。

ジクリと心なのかナカなのかわからない痛みに耐えようと壁に爪を立てると肩に痛みが走った。

ガリっと噛まれた感覚に顔を歪めれば「気を逸らすな。貴様が集中するのはこっちだ」と後ろから手が回ってきたと思ったら顎を掴まれ後ろを振り向かされる。
合わせた唇の間から肉厚な舌がの舌に絡みつきキスを深くしてくる。苦しい体勢に口を離された時には少しむせかえってしまった。

「ああっ…!」

息が整う間もなく突かれた楔はの中を擦りあげ、その突かれた場所にたまらず嬌声をあげた。前まではどこか声を我慢していたのかもしれないと思うほどはしたない声が漏れ、下腹部が熱くなる。
揺さぶられる激しさに気を抜けば崩れ落ちてしまいそうだった。

「ん、ん、ん、ぁっ!」
「ハッハッ…く、」

後ろから切なげな吐息と送られてくる熱い体温が愛しくてたまらない。こんな感覚は初めてだ。今迄で1番酷い抱かれ方をしているのに1番感じている。
立っていられず、床に落ちそうになればギルガメッシュ王の力強い腕がしっかりを抱きとめ、持ち上げたと思ったら奥の奥まで押し込んでくる。

「あっ…んぅ」
そうかと思えば腰が勝手に跳ねるような場所を突いてくる。恥ずかしいのに、本当は嫌なのに、でも嬉しいのに、やめてほしいのに、もっと求めてほしいのに、感情がごちゃ混ぜだ。

は、それでいいのか?』だなんて。
いいわけがない。本当は嫌だ。放したくない。ほんの一瞬の気まぐれでも、忘れてしまっても、今この時だけは私だけを見ていてほしい。


「…っき……好き、です…っ」

お腹に回った手に自分の手を重ね出来る限り背を反らし後ろを見やる。こんな時でも星は輝いていたが生憎を抱く愛しい人の顔は見えなかった。


「ギルガメッシュ王、あなたが、好きです」


彼にとっては鳥の囀りと同じかもしれない。本来の歴史には何ひとつ残らない。キングゥよりも、"彼女"よりも残ることはない記憶の欠片。お腹の子供の結末もきっと知っているんだろう。

けれど、彼にはほんのひと時の戯れでも私にとってはもう一生の思い出なのだ。
ぽたぽたと頬を伝う温かい水に笑えてきて眉を寄せた。さっきよりも激しい律動にたまらず顔を下げると伸ばされた手に胸を捏ねられ先端を指で弾かれる。

腰を両手で揺さぶる激しさと熱く湿った手に終わりが近いのだと思った。の身体も熱が昂り手足をぎゅっと縮みこませる。迫りくるものにぶるりとして汗を噴出させれば弾けたように意識が抜け落ちた。

フッと抜けた身体はそのまま床に崩れ落ちそうになったが温かくがっしりとした腕がそっと床に下ろしてくれる。床にくっついた足から伝わる冷たさが心地よかった。


「…たわけが。他にも機会があっただろうに何故今なんだ。お陰で他の記憶が軽く吹っ飛んだではないか」
熱を最奥で吐き出し、見えるうなじに口づけを落としたギルガメッシュ王はを起こすと抱えるように膝の上に乗せ、頭を肩に寄りかからせた。

少し明けたお陰で見えたの顔は涙に濡れていて、頬を拭ってやるとまた目の端から涙が零れ落ちる。

「我と離れがたいというならば、宝物庫に仕舞ってやる。だから泣くな
髪を撫でるように梳き、誓うように優しく唇を重ねた。

意識を手放したには王様の声は届かなかったが、包まれたぬくもりをまどろみの中で感じれたお陰でこれ以上悲しい気持ちにはならなかった。