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ジャイアンこと青峰大輝との出会いは大したことがない。
というか彼と会って喋ったのは今回で3回目か4回目だ。
教室に居場所がなくなって保健室に逃げ込んだまでは良かったけどさすがにゲームはしづらくてこっそり屋上で遊んでいたのだ。
そんなある日たまたま青峰君が来て、同じようにゲームを盗られ壊されこいついつか殺すと思っただけの話だ。
ただ、残念ながらにそんな度胸も勇気も腕力もなかったので実現することはなかったけど。それ以前にあの眼光を前にして戦力を保てる人は早々いないと思う。
膝枕はその数回の接触の時に気まぐれで寝転がったのがきっかけだ。
最終的にはイジメのストレス云々で激痩せするのだけど青峰君と会ってた頃はコロコロとしたおデブちゃんでまあ色々残念だったと思う。自分もアルバム絶対開けないし。
「というかアイツ、勝手に寝たくせに『やっぱ寝心地悪くなったな』とかいうし」
だったら最初から寝るなよ。どんだけ俺様なのよ、と悪態をつきつつ体育館に入ると舌打ちしながら床を蹴る不機嫌MAXの相田先輩が目に入った。火神、何かしたな。
「これからリーグ戦までの間、さんには火神君を見張っててもらうわ」
「え、」
「はあ?!」
痛めた足を悪化させ、飄々と戻ってきた火神と一緒に聞かされたのはほぼ罰則だった。火神は桐皇学園と当たる前に青峰君とバスケをして痛みを再発させたという。
あの日じゃないか、と内心は頭を抱えた。
そういえば何か聞こえるとかいって起き出し、さっさとどっかに行ったもんな。あのジャイアン。解放感と足の痺れで追いかけるとか火神がこっそりバスケしてるとか頭が回んなかったよ。
「黒子君と2人でこの馬鹿をこれ以上悪化させないように、よろしく頼むわよ」
「えっそんな!」
「はい。頑張ります」
「わかりました」
火神の意見などこれっぽっちも聞くの気のない相田先輩はと黒子君に言い渡すとさっさと練習へと戻って行く。後ろでぶつぶつ文句を言う火神を見れば面白くなさそうに眉を潜めていた。
「火神君。後のことも考えて動かないとダメだって自分で言ってたじゃないですか」
「てめ!それは…」
以前黒子君にいったらしいセリフを返され、呻き声と一緒に歯噛みする火神に黒子君は短く溜息を吐き練習に戻って行った。薄情者!とか叫ばないの。自業自得じゃん。
「あのジャイアンと鉢合わせたのは同情するけど、自分が選手だってこと忘れないでよね」
「……」
「そんなことばっかしてると降旗君達に抜かれるわよ」
いくら強いっていっても試合もまともにできない足じゃあね。と溜息を吐くと持っていたノートを火神のお腹にブスッと刺し込んだ。
「いで、」
「これ、カントクから借りて私用にまとめた桐皇学園のデータ。勉強嫌いでもそれなら覚えられるでしょ」
「…」
「くさってるヒマはないよ。出来ることから始めないと」
でないと本当に負けるかもしれない。最後の方は胸の内に留め、ノートを押し付けたは火神をステージに座らせるとそのまま自分の仕事に戻ったのだった。
2019/06/10
青峰はトラウマじゃないですがいい思い出もない人です。
あと例の桐皇の入学案内を見た時の青峰の顔が引くほどゲスで好きです。