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「だあああ!くっそ!」

夏休みも終わり、また通常授業が始まったわけだが休み時間、火神は目の前のノートを睨みつけながら頭を掻き毟った。禿げるよ。

何故彼が不機嫌になっているのかというと、せっかく提出した夏休みの課題の再提出を要求されたせいである。
現在火神は左手の強化特訓をしていて筆記もその中に入るのだが、夏休みの課題も全部左手で書きあげたのだ。

その苦労は夏休み最終日の合宿で寝不足になりながら見ていたのでよく覚えている。

そしてそれを提出した数時間後に先生から突き返されたのだけど、先生曰く『読めない』だそうな。
残念ながら先生は火神の事情など知るはずもないし、むしろ嫌がらせか?と思っている節もあるので火神の言い訳など、ただの言い訳でしかなく現在大人しく書き直しをしている、ということだ。

ただし、その書き直している手は左手だったりする。

馬鹿なのか真面目なのか。提出前に見直してあげた方がいいのかな、と考えているとシャーペンを放り投げた火神がこちらを見てうんざりとした顔になった。


「つーか、お前らさっきから何やってんだ?」
「「みかんの花咲く丘」です」
「は?」

何それ。と首を傾げる火神にそりゃ知らないか。と思った。今黒子君と遊んでいるのは懐かしい手遊びだ。
昔こんなのあったよね、と話していたのだけどこれがスピードを上げるとなかなかに難しかったりする。黒子君が覚えていたのは意外だったが、どうやら彼はおばあちゃんと昔遊んだらしい。



「それ楽しいのか…?」

ぶっちゃけ早過ぎてこえーんだけど、と引いてる火神には黒子君を見てそうかな?と首を傾げた。黒子君もと同じ意見らしい。

「でもそろそろ疲れてきたからやめたい気持ちはある」
「そうですね」
「……」
「……」
「…って、やめねーのかよ!」
「ここまで来たら途中でやめるの、ちょっと悔しい気がしてさ」
「ボクも新しいスタイルの練習も兼ねてるので、できれば負けたくないです」
「いや、練習にならねぇだろ!あと勝ち負けも関係ねーだろそれ!」
「関係あります。ボクが勝ったら今度の休み、練習に付き合ってくれるといってくれたので」
「テっツヤ君〜?その日は家でゲームするっていったはずだけど?」
「ゲームなら夜にできるじゃないですか。さんはもう少し外に出て運動した方がいいです」


体力つけないとまた倒れますよ、と釘を刺す黒子君には口を尖らせた。
部活でも十分外に出てると思いますけどね!と更にスピードを上げたが黒子君も負けじと追いついてきた。そろそろ腕が限界かもしれない。


「だあもう!やめろお前ら!!」


しょうもない熾烈な争いに、見ていた火神はうんざりした顔で2人にタオルを投げつけたのはいうまでもない。




2019/07/04
仲直り。