46
「ご機嫌ですね」
ゴールリングから落ちてきたボールを拾い上げた黒子君はを見て首を傾げた。その仕草がなんとなく2号を彷彿とさせて、フッと笑うと手を伸ばしボールをかすめ取ろうとした。チッ逃げられたか。
部活も終わり辺りは真っ暗になっていたがは黒子君と一緒に近くの外灯の光が多いストリートバスケット用のコートに来ていた。
冬間近なせいかたまたまなのか今日は誰もいないので広々と使えている。
最初は黒子君の練習を見ているだけだったが寒すぎたので身体を温めるつもりで彼の障害として邪魔しているところだ。残念なことにの実力では大人と子供並に話にならず、だけが息を切らせている。
そんなが笑っているから不思議に思い、聞いたんだろうけどそこまで顔に出ていただろうか。
「今日、新しいユニフォーム届いたんだ」
「そうですか」
「すっごくかっこよかったよ」
大々的に変更されたわけじゃないけど、でもやっぱり格好いいデザインに「前のも良かったけど新しいのもいいと思う」と褒めれば黒子君はそのままを通り過ぎシュートした。
「はっずれ!」
「なかなか入りませんね」
フリーも同然なのに、と零す黒子君に「木偶の棒で悪かったわね!」と体当たりすれば「さんはご当地マスコットですよ」とするりとかわされた。
そこまで動き鈍くないよ、といいたかったのに逃げられたせいで自分のどん臭さが浮き彫りになった。
「予選、楽しみだね」
「そうですね。新しいユニフォームも楽しみです」
小金井先輩や他の人達がはしゃいでいたのは見たけど、黒子君や火神がユニフォームでテンションを上げるとはちょっと思ってなくて少し驚いた顔をした。
すると彼は可笑しそうに笑い、つられても吹き出すように笑ったのだった。
いよいよウインターカップ予選の開催である。
2019/07/15
幕間。