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安定の強さで秀徳が勝ち進んだことを見届け、明日ある中宮南戦のおさらいをするべくリコ先輩達と一緒に電車に乗って戻っていると小金井先輩に「で、どーなの?」と話しかけられた。
「火神ってモテるの?」
「え?………そう、ですね。モテますね」
電車待ちの時に黒子君がいないことに気づいた先輩達が青峰にシュート練習を教わりに行った経緯をリコ先輩に聞いていたのまではも耳に入れていたが、乗り換えと話題が変わったことでそこまで真剣に聞いていなかった。
ちょっと今日のゲーム報酬が思った以上に良くてマルチプレイ、いいな…と悩んでいたところだったので面食らったのはいうまでもない。
驚きはしたものの、桐皇戦にも好いてる子達が応援に来ていた話をしたら一部の先輩達の空気がドス黒く重くなった。日向先輩と伊月先輩が笑ってるようで笑ってないのマジ怖いです。
「へぇ〜そうなんだぁ。火神モテるんだ〜」
「いやあ。久しぶりにゲーセン行ってパンチングマシーンおもくっそ殴ってきてーわぁ」
「日向!クラッチタイム入ってっから!あと伊月も顔こえーから!!」
明日シメようか?と笑ってない笑顔で話し合う日向先輩と伊月先輩に「そういう話すんなって!こいつら気にしてんだから!」と土田先輩が小金井先輩に返しつつ変化球で2人沈めていた。
「いやあ、だってさ。火神連れてかれる時"大我が強くなったらもっと惚れさせちまうかもな!"ていってたから、モテんのかなーって」
「あーそれは、」
「!あー」
「……へ?」
そういえば別れ際、嬉しそうにアレックスさんがそんなことをいってたなぁ、とも小金井先輩の言葉で思い出した。
ただ更にモテたところで火神の頭の中はバスケしか枠がないのだろうけど…とぼんやり考えているとリコ先輩がふいにこちらを向いた。
それにつられるように木吉先輩達が一斉にを見て「ああ、そういう」と妙に納得した顔になりたじろいだ。
「!なーんだ!そういうこと?」
「え?」
「そういうことそういうこと」
「え?どういうことですか?」
極めつけは小金井先輩までもが手を叩き納得してしまい、結局わからないのはだけになってしまった。え?何?私だけわからないの寂しいんですけど。
もしかして私に関係すること??よくわからないまま困惑を顔に浮かべると「ああ、いいのよ。はそのままで」とリコ先輩に諭され、また頭の中に疑問符が浮かんだ。
「わからない方が面白いし」
「え?」
火神がモテる以外で何の理由があるんですか?と狼狽すると木吉先輩がとても嬉しそうにの肩を叩いた。
「火神はモテてもモテなくてもがいてくれるだけで嬉しいんだ。だから今まで通り火神を支えてやってくれよ」
「は、はぁ…」
「木吉。お前は黙ってろ」
益々混乱しただけだった。
2019/08/06
異性という意識はあるけど火神は今のところ友人or部活仲間。
黒子とエロ峰タッグに抑え込まれて目立てないともいう(ドンマイ)