EXTRA GAME - 02
「ウイルスにはかかってないようですよ」
「本当?!よかった〜」
「それとメールボックスにダイレクトメールっぽいのがたくさん混じってるんですけどどうします?
こういうのって画像添付も多いので容量に負荷がかかるし処理速度も落ちるので、もしいらなければ捨てちゃった方がいいと思うんですけど」
「それもやってもらえる?」
「はい。じゃあ残しておくアドレスを教えてもらっていいですか?」
「ちゃん。始まったわよ!」
こじんまりとしてるけど明るい事務所でカタカタキーを打ちながらパソコンの容態を診ていると、テレビをつけた事務のおばさんに声をかけられた。
手招きする彼女に促され、革張りのソファに座るとテレビ越しから大きな歓声とバスケットコートが映し出される。
今頃黒子君達も見てるんだろうな、と思いながら試合を見ていたが10分もしない内に顔が引きつった。
いやまあ、相手がいかつくていかにもガラが悪そうな雰囲気だからしんどい、というのもあるけど、懐かしくも顔見知りの人達がああもバカにされ、侮辱されたらたまったものじゃないと思った。
ぶっちゃけ、胸糞悪いにも程がある。
「どうしたの?ちゃん」
「スミマセン。メールが…」
啖呵をきった景虎さんがしっかり映ったのを見ておばさん達は大いに驚いたがもメールを見て驚いた。黒子君ってば景虎さんと直接話したいってどういうこと?あ、いや、なんかわかった気がする。
黒子君思った以上に怒ってるぞ、となんとなく感じ取り手早く返信するとはテレビを伺いながらとりあえず景虎さんとリコ先輩にメールを緊急送信するのだった。
*
次の日、携帯を見るとリコ先輩から『今日の部活は自主練』というメールが来て、黒子君と火神からは再戦メンバーに選ばれた旨のメールが届いた。
事情はテレビを見ていたのと景虎さんの事務所にいたのもあって大体把握している。そして再戦メンバーも。
連なった名前に遠い目になったのはいうまでもない。妥当だけど微妙な気分だ。
「(妥当だと思ってる時点でこれ以上の強い組み合わせはないってことなのかなぁ…)」
それでもやっぱり自分の学校のチームが最高だと思ってしまうのは贔屓目だろうか、と思いつつキーを打っていると事務所のおばさんに声をかけられた。
どうやら再戦試合用のユニフォームの件で景虎さんに話に行くらしい。
現在は昨日に引き続き景虎さんの事務所に来て事務処理を手伝っている。
勿論、容態の悪いパソコンの調子を確認するのが本命なのだけど、景虎さんがテレビに出てしまったのもありこっちの事務所にも問い合わせが来ているのだ。
そのせいで事務所はいつもより慌ただしくもその手伝いをしていたのだけど、まさかお使いを頼まれるとは思ってなかった。
いやまあ、事務の人は基本1人だしリコ先輩のお母さんもいるけど電話対応で今身動きとれないみたいだし。
事務補助に入ってる人もメインはインストラクターだから、手が空いてるのはしかいないといえばいないんだけど。
「デザイン画数点とサイズを書き込む用紙はこれね。あとサポーター用のパーカーとトレーナーも用意するからその子達にサイズ書いてもらってきて」
マジですか…?今日はてっきりここに詰めているものだと思っていたから適当な服とパーカーで来てしまったよ。どうしよう。
苦肉の策で景虎さんが帰ってきたら頼めばよいのでは…?と聞いてみたが製作期間を踏まえると早い方がいいらしい。
そのついでといわんばかりに景虎さんの言伝で別件の買い物リストも手渡されがっくりと肩を落とした。
「"お菓子、足りる分"って…」
誰の為かひと目でわかったけど、わかっただけに困惑、という顔になったのもいうまでもない。
2019/10/01
再会は次回。