EXTRA GAME - 12


落ち着いた桃井さんと一緒に建物を出ると門のところで黒子君達が待ち構えていて少し驚いた。どうやら達を待っていてくれたらしい。

「おっせーんだよ」と言葉と一緒にの肩、というか首に腕を巻き付けてきた青峰にうげ、と思いながら慣れない輪の中に入れば「じゃ、行くっスか!」と黄瀬君が号令をかけた。


「行くってどこに?」
「決起集会っスよ!」
「今更だけどな」
「だってそうでもいわねーとみんな帰っちゃうじゃないっスか!」

隣に来た黒子君にそれとなく聞いてみたら答える前に黄瀬君が返してくれた。確かに決起集会をやるなら集合をかけた初日とかにやっておきたいし、面子もリコ先輩達3年生不在だから説得力に欠ける気がする。

まあ、行先を聞いたらマジバらしいので、約2名程名目がないと呼べないか…と思ったから間違ってはないのだろうけど。


「つーか青峰。いい加減放してやれよ。が歩きづらいだろ」
「あぁ?テメーには関係ねぇだろ火神」
「そうですよ青峰君。さんの歩き方に変な癖がついたらどうするんですか」
「うっせーな。に話があんだよ」

毎度毎度接触する度に連れまわされてるせいで慣れてしまったが、誠凛の光と影は毎回必ず青峰に小言を言ってくれるのでとても助かっている。当の本人が諦めてしまっているから尚更だ。

いつかは飽きてくれるかな?と願っているけど未だに絡んでくるし。話があるとか絶対嘘なのにどの口が言うかな、と呆れた目で彼を見上げれば大きな手で両頬を押されアヒル口をさせられた。
ジャイアンっていっつもこんなのばっかりしてくるよね。



「でも、さんがいてくれると大ちゃん消えてもちゃんと戻ってくるから、私は助かるかも」
「…青峰君。また練習をサボっているんですか?」
「さ、サボっちゃいねーよ」
「サボってるよ!いっつも探す私の身にもなってよね!」
「最近はサボってねーだろ!」

黒子君の反対隣ではお約束のように桃井さんが歩いていて、何故か挟まれるように幼馴染組が言い争いを始めてしまった。
中学後半や高校に入った1年目よりは断然出ているようだが気まぐれなところがあるらしい。

先程桃井さんと話したのもあり、隙を見て青峰の腕を叩き視線をこちらに向けさせたは「ちゃんと部活に出なきゃダメだよ」と諭すように便乗しておいた。

これ以上無暗に強くなられても困るけど練習しないせいでケガとかしたらそれも困るだろうし。
茶化すわけでもなく嫌味でもなく至って真面目な顔で見上げると、青峰は目をぱちくりとさせ、それからなんとなくむず痒そうな顔になり「わーったよ」とぞんざいだけど肯定で返してくれた。



*



マジバーガーに着くとはたかられる前に青峰から離れた。食べ物関連は何かと驕らされているので逃げるが勝ちだと最近学んだのだ。

さて自分はどれを食べようかな、と火神と話してる青峰を確認してからメニュー表に目をやると視界に高尾君が映り手招きする彼に歩み寄った。

「どうしたの?」
ちゃんさ。こういうの興味ない?」

彼が指し示すものを見るといわゆる小さい子供達が食べるセットをいっているようで、これに興味あるか?といわれ量的にはこれでもいいかな、とは思った。おもちゃは残念ながらいらないのだけど。


「実はさ。真ちゃんがこのおもちゃ欲しいっつーんだけど6種類もあるじゃん?しかもランダムだしさすがにこんだけ頼むのは気が引けるから協力してくれねーかなって思ってさ」
「うん。いいよ」

何で子供用なのかと思ったらそういうことか、と納得したは快く頷いた。隣のレジを見れば緑間君がそのセットを頼んでいてレジのお姉さんが引きつった顔で復唱している。

これが欲しくて緑間君マジバに来ることを承諾したのかな。というか、ラッキーアイテム収集の一環だと知らないとビックリするかもな、とも思った。


「緑間君。はいこれ」


一足早く席に座っていた緑間君に近づき自分が貰ったおもちゃを差し出すと少し驚いた顔で見られた。

「触った感じそのおもちゃとは違うっぽいよ。高尾君のとも違うからとりあえず3種だね」

ダブらなくて良かった。と微笑むとおもちゃを受け取った緑間君が「高尾」と静かに反対側に座る彼の名を呼んだ。



「えー?だって2人で制覇するにはハードルたけーじゃん?だったら協力してもらった方が早くね?あ、ちゃんここに座りなよ」
「ありがと。なんだかんだアイテム貰ってるしそのお礼もしたかったから気にしないで」

そう。1年の夏の合宿以降、緑間君から何かとラッキーアイテムを貰ったり借りたりしてるのだ。

毎日ラッキーアイテムを持ち歩いてるわけではないは有難くそれを受け取ってはいるが、貰いっぱなしは気が引けていたので今日みたいに協力できるのはとても嬉しかった。


はそれで良かったのか?」
「うん。定期的にテツヤ君達とマジバに通ってるから、特にこれが食べたいってものはないんだ。2人こそ量はそれで足りるの?」

足りなくない?と2人のトレイを見ると高尾君は通常のバーガーを1つ追加しているが緑間君はノーマルのままだ。

黒子君並の小食だったっけ?と首を傾げると「足りなければもう1つ追加すればいいだけなのだよ」と緑間君がドヤ顔で眼鏡を弄っていた。おもちゃセットをもう1回注文しに行くのか。強いな緑間君。




2019/10/21
戦隊のロボットを持ちながらドヤァする緑間真太郎(笑)