EXTRA GAME - 21


「あれ?赤司っち帰っちゃうんスか?」

リコ先輩に「はしゃぎすぎて夜更かしするんじゃないわよ」と釘を刺されつつ先輩達と別れると、赤司君も達とは別方向へと身体を向けた。
それを見た黄瀬君が声をかけると「ああ」といって彼が振り返る。


「俺も休んでいる間に出た課題があってね。少しでもやっておきたいんだ」


思ったよりも出されていた、と携帯を振る赤司君はやれやれといった感じに肩を竦めているから思ったよりも大量に出されたのだろう。

「お前もこっちにきて一緒にやればよくね?」と桃井さんに課題のことで小言をもらった青峰が当てつけのようにいうと赤司君は「人数は心強いだろうが集中するには苦労しそうだ」と笑った。

口外にまったくもって課題なんてできるわけないだろ、といわれた気分になる。その通りだけど。


「ミドリンも帰るの?」
「ああ。騒ぐのが目に見える空間にわざわざ行きたくないのだよ」
「とかいって、寂しくなっても知らないっスよ?」

緑間っち意外と寂しがり屋っスもんね!と笑う黄瀬君に「お前に言われたくないのだよ!」と怒られていた。どうやら万全の態勢でおは朝を見たいらしい。

「再戦の日が近いから調子を崩したくないんだろ」、と後から高尾君が教えてくれたけど、その高尾君が緑間君を送っていく気満々でチャリアカーに乗っているのを見て目を瞬かせた。



「俺は真ちゃん送ってからそっち行くわ」
「緑間。今日くらい自分の足で帰れよ」

毎度毎度、お前高尾のことこき使い過ぎじゃね?とつっこむ火神に緑間君の眉間は海溝を越える勢いで深くなったが、高尾君が「いいからいいから」と笑って手を振った。

「今日の占い、俺の方が順位良かったんだよ。だから真ちゃん今日1日ビビってて」
「ビビってなどいないのだよ!」
「んで、何かあったら不味いよなってことで家まで付き添うことになったんだわ」


なんせ秀徳のエース様ですから、と笑う高尾君に火神は微妙な顔になったが他の誰もがつっこまなかったので、火神だけ浮いたようになってしまった。
帝光組はいつものことか、みたいな顔をしてるから高尾君と出会う前も誰か付き添って帰ってたのかな?と思いを馳せてしまった。


、おいで」


まるでおは朝の呪いにでもかかっているようだ、と心の中で思っていると赤司君を目が合い手招きされた。
それほど離れた場所にいたわけじゃなったけど彼の元に歩み寄せれば、赤司君は薄く微笑みを包むように抱きしめた。


「「「はあ?!」」」


ぎゅっとしっかり抱きしめられ、背中をぽんぽんとあやすように撫でた赤司君はゆっくりとを解放した。
達の周りにいた火神達が一斉に声をあげ、もかなり驚いたが残念ながら声になる前に飲み込んでしまった。目の前には満足そうに見つめる赤司君がいてぶわりと顔が熱くなる。
身体にはしっかりと赤司君が抱きしめた腕の感触が残ってしまい、それが男性だって思えるような力強さを感じてしまい、一気に体温が上昇した。



「し…心臓が止まるかと思った…」
「それはすまない。少し表情が硬いように見えたんだ」

硬いからといって抱きしめる、というのはどうなんだろう。赤司君謎なんですが、と困惑を露わに見上げると彼は笑みを浮かべたままの頬を掌で優しく撫でてくる。
その仕草も抱きしめ方もどことなく大切に扱われてるのが身をもってわかってしまって顔が熱くて仕方がない。

何で黒子君も赤司君もワンクッション置いてくれないのだろうか。心臓が本当に止まってしまいそうだ。


「うん。これなら大丈夫そうだな」
「だい、丈夫、じゃ、ねーよ!何考えてんだよ!!」

眩暈を起こしそうな心拍数にたたらを踏むとそれを支えるように火神がやってきて、赤司君と距離を取るように引っ張られ黒子君が引き継ぎを後ろに下がらせた。

「お前な!そういうの平然とやんなよ!」
「アメリカもハグくらいするだろう?」
「驚かすようなハグはすんなっていってんだよ!」

挨拶にもなんねーよ!と憤慨する火神は怒ってるせいか顔が赤い。自分程じゃないだろうけど。
耳まで熱い気がする、とじわじわする耳を引っ張っていれば、チラリと赤司君がを見、今は背しか見えていない黒子君を見て彼は苦笑に変えた。



「丁重に扱ってくれよ」
「わかってます」
「もしを怖がらせるようなことをしたら……いや、やめておこう」
「途中でやめんなよ!余計怖いだろうが!!」

赤司テメー!俺らをからかってるだろ!と動揺する火神に洛山の帝王様はフッと笑って「好きに想像してくれて構わない」といって踵を返した。

黄瀬君に引き留められてる火神を尻目に赤司君を見やれば彼は再びこちらを見ると「また明日な」といって繁華街の方へと歩いて行った。




2019/10/28
赤司との交流を増やしつつ秀徳組の仲良しアピール。

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