You know what?




□ 117a - In the case of him - □




「ほら!そっちに走って!」
「ぎゃあ!ちょっと遠すぎ!」

ぱこん、と打たれた黄色いボールががいるコートの反対側へと飛んでいき慌てて走ったがラケットは見事に空振りして後ろのフェンスにボールがぶつかった。

「あーもう無理!」
「ほら休んでない!次行くからねー」
「ええっ?!」

ぎょっとしてネットの向こうにいるジローくんを見れば丁度ラケットを振ったところだった。それを見たは「インターバルはー?!」と叫びながら向かってきたボールを打ち返した。

先日U-17の合宿でマネージャーをすることになったといったらジローくんに「だったらテニスの練習もしといた方がよくね?」といわれあれよあれよという間に野外のテニスコートまで来ていた。

この辺は大体学生が練習がてらに使ってる場所だったから気が引けてしょうがなかったけど達が来た時には誰もいなかったし今も待ってる人もいない2人だけの空間だからまあ、いっかと思ってる。


しかし今日のジローくんは妙に楽しげで、彼に翻弄させられっ放しだ。しかも性質の悪いことにジローくんはゲラゲラ笑いながら絶対取れない方向に打ってくるし。

いつからそんなにドSになったのジローくん…!
ゼェハァと近くのベンチに倒れ込めば清々しい顔でジローくんが「運動不足だC〜」と笑っていた。

「ジローくんはまだまだ元気だねー」
「あったり前じゃん!が動けなさすぎなんだよ」
「そりゃコートの端から端をずっと走り回されてたらこうなるよ…!!」


マジで吐きそうです…!とそのまま目を閉じると俺も座るからどけて!とジローくんが押してくる。いやいやいや、お腹に乗ってはいけません。朝食出ちゃうじゃないですか。
仕方ないな、と身体をずらしてジローくんが座れるスペースを空けると彼はそこにどっかり座り込んだ。



「…何も私誘ってテニスしなくたっていいじゃん」
「だって今日は向日も宍戸も仕事なんだもん。空いてるのはだけだったC〜」
「暇ですからね」
「俺も暇だったC」

同じ〜と笑うジローくんに上機嫌だな、と笑った。

「んで、跡部は元気だった?」
「んー元気元気。出された仕事やりたくないって駄々こねる程度には元気だった」
「ぶはっ何だそれー」

跡部が仕事やりたくねーとか超ウケる!とお腹を抱えるジローくんにそれツボだったのか、と別の意味では驚愕していた。


「次はいつ行くの?」
「…今日、」
「え、じゃあ俺と遊んでちゃダメじゃね?」
「強引に誘ったのジローくんじゃん…」

本当は今日跡部さんに差し入れを持っていく約束をしていたからその準備をしなきゃいけなかったんだけどジローくんと遊ぶことになってその準備に追われて睡眠時間削ったんだよね。お陰で今こんなボロボロだし。

「ごめんねー」との頭を撫でてくるジローくんの手はとても温かくて優しいが「じゃあ時間も惜しいし始めよっか」と言い出した時は眩暈がしたけど。私、まだ息切れしてますジローくん…!


「あれ?珍しい人達がいる」
「あ、越前?」
「え?あ、本当だ」

ジローくんの発言に顔を上げればすぐ近くに神出鬼没なリョーマくんがラケットバッグを持って立っていた。彼は珍しげにこっちを見、「どーもお久しぶりです」といって何故かの後ろに回りカシャ、と写真を撮っていた。

「え、何で?」
先輩がそんなぐったりしてるの初めて見た。ていうかこのアングルちょっといい眺めだなーって思って」
「は?」
「何でもねぇっス」



今聞き捨てならない発言を聞いた気がするのだが、それこそ珍しく凄んだジローくんに臆してリョーマくんは咳払いひとつして携帯をサッと隠した。何を撮ったんだあの子は。

「それにしても珍しいっスね。先輩達が打ってるなんて」
ってば今度U-17に行くからそれの練習してんの」
「え?先輩選手で出るんスか?」
「ぶはっ!」
「…それは無理があるでしょ」
「えー違うんスか?」
「違う違う。マネジだよマネジ。これはただの遊びです」
「わっかんねぇーじゃん!もしかしたら観月、にも球出ししろっていうかもしれないだろ?」
「……いわないよ、きっと」
「観月さん?」

出てきた聞き覚えのある単語に首を傾げたリョーマくんの疑問を解消すべく何があるのか簡単に説明すれば「…俺、そんな話聞いてない」と何故か不貞腐れた。


「そりゃ、リョーマくんて捕まらない人だし、その時期だと大会もあるんでしょ?」
「まあ、あるにはあるけど…」

でもどちらかといえば先輩がいるU-17に行って先輩の手料理食べたい。となんとも嬉しいことをいう後輩に破顔しそうになったが、横目で見てくるジローくんにすんでで顔を引き締めた。何でそんな責めるような顔で見るの?!浮気なんてしてないよ?!

「でも丁度良かった。先輩。ちょっと質問なんスけど」
「え?私?」

じっと見てくるジローくんの視線にむずむずしながらもリョーマくんを見やれば「出産祝いってどのくらいの遠さまでの人間が渡せばいいんスか?」と思ってもみないことをいわれ目を瞬かせた。


「へ?出産祝い??」
「誰か知り合いで子供産んだ人いんの?」

およそリョーマくんの口から出てくると思ってなかった言葉にジローくんも興味津々、といった顔で彼に質問している。そりゃそうだろう。早い子だと20才前には出産するが生憎達の周りで結婚はおろか、出産までたどり着いた者はまだいない。婚約はいるけどね。



だからというか、リョーマくんが言い出すのはちょっと意外で、でも何となく納得して「友達とかお世話になってる人とか、リョーマくんが渡したいって思ってるなら相手も喜ぶと思うよ?」と返した。
リョーマくん海外の友達も多そうだし、海外の子だと結婚や出産も早いんだろうな。

「……そうっスか。じゃあ渡した方がいいのかな…あ、そういうのって何渡したらいいんスか?」
「え?!う、うーん。私もまだ渡したことないからなぁ。前に消耗品がいい。みたいなことは聞いたけど」
「消耗品って、どういうのっスか?おもちゃは消耗品じゃ…ないっスよね。金じゃダメなんスか?」
「うーん。どうだろ…」
「いっそのこと本人に聞いたら?」
「そういうの、有なんスか?」
「えっお、俺はわかんねーけど、そういう時は聞いた方が早くね?」

俺もそういうの渡したことねーからよくわかんないけど、と動揺するジローくんにも困った顔で見返せば、「じゃあ聞いてみます」といっておもむろにリョーマくんは携帯を取り出した。


「そういえば、跡部さん今国内にいるんスか?」
「いるにはいるけど今入院してるC」
「入院?!」
「何だよ越前、ニュース見てねーの?」
「ネットのニュースはちらほら見ましたけど…つーかあの人、入院だけで報道されるんスね」
「あはは…」
「でも何で跡部?」
「え、だって本人に聞けっていったじゃないっスか」
「え?」
「どういうこと?」

たかだか入院で大々的に報道されるとかどんだけだよあの人、といわんばかりの顔に苦笑するしかなかったが、次に出た彼の発言にジローくんと一緒に首を傾げた。

「俺、相手の方はよく知らないんスけど……あ、でもスポンサーは繋がってて顔見知り程度ではあるんスけど。でもどちらかといえば跡部さんに世話になってる、と思うし、家族が増えるって凄く嬉しいことだろうし、だったら何か渡した方がいいんじゃないかって」

面倒といえば面倒なんスけど、と溜息を吐くリョーマくんにの思考が鈍く回転した。
リョーマくんの言葉を拾えばあたかも跡部さんに子供がいるような発言で。でも、彼は結婚してなくて。え、じゃあ相手は誰?



「越前何いってんの?!跡部の子供な訳ねーじゃん。だって跡部は」
「え?でも俺、この前軽井沢に行ったら奥さんが赤ん坊連れて散歩してましたよ」

あの辺跡部さん所有のコートが多かったから俺も使わせてもらってたんですけど、その時にばったり会って…。そこまでいったリョーマくんだったが目の前の2人の反応がおかしいことに気がつき訝しげに首を傾げた。

「つーか、2人は何も渡してないんスか?」
「渡すって、跡部さんに?」
出産祝いを…?

「ていうか、産んだの誰?!」
「え、なんていったかな……あ、みねぎし、ひとみ…って人、だったかな」
「「はぁ?!」」
「えっ違うんスか?!」

2人の大声にリョーマくんは大いに驚いただろうが、それは達も同じだ。跡部さんに子供?峯岸さんが赤ちゃんを産んで軽井沢にいた?しかも跡部さんが所有する敷地内に?


「……先輩?」

何がどうなってるの?と呆然としていれば、ただならないことになってると認識したリョーマくんが気遣うように声をかけてくる。しかしそれすら返せないくらいは表情をなくしていた。跡部さんが…?婚約解消したっていったのに?

そう思いながらもふと今年の初めに見た妊婦さんを思い出した。柳と一緒に幸村を待ってる間に見たお腹の大きな女性。あれは勘違いではなかったのかもしれない。

「芥川さん?」

呆然と固まっているの隣で同じように固まっていたジローくんだったが、弾けたように動き出したかと思えば自分の鞄を漁りどこかに電話をかけだした。しかし何度かけても留守電になるらしく顔を歪めて「チッ」と舌打ちしている。

それからまた誰かに電話をすると繋がったらしく「忍足?!」と声を上げた。通話の相手は忍足くんらしい。



「は?寝てた?そんなの知らねぇーし!…夜勤明け?そんなのどーでもいいんだけど!!」
「うわ…」
「つか、何で跡部出ねーわけ?!は?個室なら電波入るだろ?!…んなの俺だって知らねーし!」

さっきの電話跡部さんだったのか…。アクティブだなジローくん。ぼんやりとヤ〇ザなジローくんを見ていれば近くにいたリョーマくんがドン引きした顔で見ている。そうだよね。こんな怒ってるジローくん見たことないだろうね。私も高校の時以来だよ。

というか忍足くんに電話してどうすんの?と伺っているとジローくんは携帯を耳から離しスピーカーにしてをこっちに来るようにと手を引っ張った。


『せやから跡部も寝てんちゃうか?なんだかんだいうても"あの"跡部が倒れたんやで?検査やらなにやら色々あるっちゅーねん。そりゃまあ、ちゃんの前ではなんでもないようにしとるかもしれんけど、考えてるよりはもっと深刻な状態なんとちゃうか?
……そういうわけで同じお医者さんに睡眠時間くらいとらせてーな…』

「そんなことより質問に答えてほしいんだけど」
『……えぇ〜スルーかいな…。もうなんや』
「峯岸さんが子供産んだってホント?」
「っ…!」
「越前がいうには軽井沢にある跡部の家で子供と一緒に住んでるって聞いたんだけど」
『……』
「どうなんだよ。忍足なら知ってるんだろ?」

声が掠れて更に吐息混じりな声になってる忍足くんに疲れてそうだなーと思いながら聞いていると、ド直球な質問に目を見開いた。近くにいるリョーマくんも同じような顔でジローくんを見ている。

いや、気にならないのか?と言われたら気になるけど…でも、聞きたくないというのもあってにも緊張が走る。このまま聞かずに逃げてしまいたい気持ちになったが掴まれてる手にそれは出来そうもなかった。



『…はぁ?んなこと聞いてどないするん…?』
「どうもしねーし。早く答えろよ」
『…………』
「……………」
『……峯岸さんがどこに住んどるかは知らんけど、跡部ならそうするとちゃうか?ゴシップ避けに避難させたんやろ。赤ん坊を飛行機に乗せられんしな。越前のいうとおりやと思うで』

これでええか?他に用がないならもう切るで。とウザったそうに聞こえた声はそこで途切れ、ツーツー、という機械音だけが虚しく携帯から聞こえていた。

「は、はは…」
先輩…?」
「ははは……」
……」


しばらくそのまま立ち尽くしていたがだらりと腕を下ろしたジローくんと同じくらいに乾いた笑いが漏れた。跡部さんに子供がいたとか笑えるでしょ。しかも峯岸さんとの子供とか。
そんなこと一言も教えてくれなかったなんてさ。笑っちゃうでしょ。


「さすが跡部さんだよねー…」


婚約解消も嘘だったんじゃん。「すっかり騙されたわー」と抑揚なく笑えば心配そうに見てくるリョーマくんと今にも泣き出しそうな顔で見てるジローくんがいて妙に可笑しかった。

「ははっジローくん、何で泣きそうな顔してんの?」
「だって、
「一杯食わされたけどおめでたいことじゃん。ていうか、身内から騙すとか跡部さんも人が悪いよね。友達なのにさー。そんな大事なこと喋ったりしないのにね」
、きっと違うよ!これにはきっと何か理由が」
「いいよ。別に。どうでもいいよ」

理由があってもなくても。



忍足くんにだけ話してるとか本格的じゃないか。本気で峯岸さんと子供を守る為に一生懸命動いてたんだなぁ、そう思ったら余計に可笑しくなった。
あー、だからあれだけ切り詰めて働いてたのか。少しでも一緒にいれる時間が取れるように。なんだ。私とのデートの為とかいってたけど本当は彼女達の為に頑張ってたのか。そうだよね、そんな気はしてたんだ。自分の子供って可愛いっていうしね。

これで納得したわ。私の為に仕事をして体調崩してるとか物凄く違和感あったもん。子供の為ならそうするよね。峯岸さんみたいな奥さんの為だったら無理もしちゃうよね。


跡部さんも人が悪いよ。そうならそうっていってくれれば良かったのに。いってくれたらこんな、バカみたいに浮かれて勝手に恋人気取りなんてしなかったのに。甲斐甲斐しく彼の希望を聞いたり期待に応えようと睡眠時間を削ってまで叶えようとか、私ってただのバカじゃないだろうか。


「お似合いだったもんねー…そっかー…じゃあどうしようか。ジローくん、出産お祝いに何送る?」
……」
「私、ベビー服がいいと思うんだよねぇ。こう上下繋がっててフードが動物の耳になってるやつ。……あ、でもこれからの時期には暑いか……え?」

ふわふわもこもこのポンチョでもいいかなぁ、とぼんやり話していれば目の前が暗くなり目を瞬かせた。どうやらリョーマくんに抱きしめられてるらしい。


「リョーマくん、どうしたの?」
「……だって先輩、泣いてるから」

離れようと顔を上げたがリョーマくんにきつく抱きしめられた。そしてそこでやっと自分の頬が濡れてることに気づいた。

「あー…本当だ。えー?ははは……っ超恥ずかしいんだけど、何やってんだろ。いい大人が……っ」
…っ」

泣いてちゃダメでしょ。といいたかったのに最後までいえなかった。
言葉は嗚咽に変わってしまってうまく綴ることが出来ない。

それを見たジローくんも後ろからぎゅうっとを抱きしめた。
3人でひしめきあってるせいか泣いてるせいかそれなりに暑かったけど、でもそんなこと気にする暇もなくてはただ2人に隠れたまま咽び泣くしかなかった。



******



仕事の休憩中、本日何度目かのコールにうんざりしながらも表示された名前を見てポケットに入れれば何度目かのコールでぷつりと切れた。それでホッと息を吐けばまた震えだした携帯にぎゅっと眉を寄せ溜息と一緒に諦めて電話に応対した。

「もしもし、」
ちゃんやんな?!…あーやっと出たわー…』

つっけんどんなの声もなんのその、電話の相手は心底ホッとした声でそうのたまりちょっとだけの罪悪感を刺激した。


「どうしたの?」
『あー、と。変な質問かもしれんけど、ちゃんこの前ジローとおった?』
「ジローくん?何で?」
『…ジローや越前と峯岸さんの話したんとちゃう?』

なるべくなんでもない素振りで話をしたが忍足くんは直球で話題を持ち出してきた。ぎくりとした心臓と一緒に黙り込むと『やっぱりか…』とうな垂れるような声が聞こえてくる。

『あんな。前にいうたことやけど少し語弊があんねん。………峯岸さんの子供な。詳しいことは跡部から聞いてほしいんやけど…とりあえずいえるのは、あれは跡部の子供じゃないねん!それはホンマにホンマの話な』
「……そう」
『跡部所有の別宅に住んどるのもきっと事情があってのことやし、別にちゃんに嘘ついていわんかった訳ちゃうで?!』

色々面倒ごとが多いから巻き込みたくなくていわんかったんやと思う!と焦るように言い訳する忍足くんの声を聞いてたら、自分の今の心境と妙にちぐはぐしてて少し可笑しくなった。


「別にいいのに」
『は?』
「実はね、そうかもしれないなぁ、て思ってたんだ。だってあの跡部さんが子供いるのに隠すとかありえないし。むしろ掛け落ちしたって堂々と宣言するだろうし。
跡部さんのことだから旦那さんがいても峯岸さん達が心配でしょうがないから"俺が面倒をみてやる!"とかいって軽井沢に避難させたのかなって思って」

跡部さんらしいよね。と返せば『そうそう!…なんや、ちゃんわかっとるやんかー…』と安堵の息と一緒に忍足くんがぼやいた。どうやらここ数日ジローくんに連絡しても一切繋がらなかったらしい。



ちゃんに何度かけても繋がらんから、今度こそ縁切られたかと思うたわ』
「ははっそんなことしないよー」
『いやもうホンマ堪忍な。あん時は睡魔がアカンことになっててん。せやから適当に返してしもうたけど、跡部はちゃんのことホンマに好きやから。勘違いせんといてな』
「でも、峯岸さん達の方がもっとずっと大切に想ってるよね」
『……え?』


渡瀬さんとか早百合とか。本当跡部さんは優しい人だね。と笑えば忍足くんは再度『え?』と返してきた。

「ああ、ごめん。人来たから切るね」
『ちょぉ、ちゃん?!今のどういう』

そこまで聞こえたがは最後まで聞かず通話を切った。
コンコン、とノックの音と共にドアを開けたのはメガネをきらりと光らせた織田くんで、を見るなり「器用ですね。電話しながら賃貸雑誌を読んでるんですか?」と眼鏡のブリッジを直した。

彼はというと休憩に入ったわけではなく、何か忘れ物があったらしい。鞄を漁り、何かをポケットに入れた後、「どうぞ」と飴を渡してきた。


「まぁね。たいした電話じゃなかったし」
「そうなんですか?」
「うん」

そういうとは携帯の電源をオフにして足元に置いていた鞄につっこんだ。

「それはそうと、合宿はいつからなんです?」
「それがさー。メンバー選抜に手間取ってるみたいで未定になっちゃったんだよね」
「そうなんですか?」
「そう。だから当分ここで働くことになりそう」

神奈川の支店に戻れっていわれなくてよかった、とヘラリと笑えば「それはいいことを聞きました」と織田くんは嬉しそうにまた眼鏡のブリッジを動かしたのだった。





2013.12.07
2016.01.26 加筆修正