You know what?




□ 青学と一緒・3 □




「うはーっ畳だー!」

襖を開けた途端漂ってきたイグサの匂いに声をあげると皆瀬さんも中を覗いて「畳の部屋久しぶりだよー」と早速座り込んでいる。は奥にある板の間に近づき窓の外を見れば星がちらほら光って見えた。

「いいね〜普通に遊びたくなるね〜」
「そうだね〜。っていっても遊ぶ場所コートとグランドと体育館しかないけどね…」
「そうそう!体育館あったよね!見てビックリしちゃった!」
「ここってもしかしてそういう人達が集まるホテルなの?」
「どうだろ?見かけた人は普通に宿泊してるっぽかったけど…でも、蓮二くん達が見つけた場所だからもしかしたらそうかもね」


今日の練習が終わり、テニスコートから引き上げホテルに入った達は割り当てられた部屋に分かれて夕食までの時間をそれぞれ過ごしていた。1部屋に3〜4人の男子と違っては皆瀬さんと4人部屋に2人だ。ちなみに隣の部屋は竜崎先生である。

山沿いにあるホテルは広い敷地に何を思ったのかグランドとコートの他に体育館まである不思議な場所だった。体育館なんて2階建てで1階は会議室があるというのだからバカにできない。

後から聞けば町内会とかで催し物をしたり、災害時に利用する収容避難場所としての機能もあるのだそうだ。その為、コートも広々作られてるらしい。まあホテルの隣はゴルフ場だし、住むのもボールがホームランになっても探しやすそうだけど。


皆瀬さんの話を聞きながら、こんなお誂え向きなホテルをよくもまあ見つけてきたもんだと肩を竦めた。自分だったら間違いなく近くにコンビニのないホテルは選ばないだろう。というか何もないんだよね。このホテルの周り。


「柳生くん達もこの夜景見てるのかな?」
「柳生くんは見てるんじゃない?赤也達とかはゲーセンに行ってそうだけど」
「あー小さいけどゲーセンあったよね。あと卓球台も」
「あったあった!あとカラオケボックスの名前も見たよ」
「あれってボックスっていうかスナックじゃない?この階の奥にあったはずだよ」
「スナック!!」

皆瀬さんの発言にケラケラと笑ったは「うちら入れないじゃん!」とつっこんだ。別に行く気はなかったがスナックは大人の社交場な気がしているので余計に敷居が高く感じてくる。あとスナックという響きがおじさんくさいと思った。



「うっせーと思ったらやっぱかよぃ」

ノック音に皆瀬さんが対応すればドアをくぐって入ってきたのは丸井だった。後ろにはいつもは一緒に行動しない柳生くんまでくっついてきている。
どうやら柳生くんは散歩中に仁王に捕まってウロウロしていたら丸井に捕獲されて連れてこられたらしい。可哀想に。

「こんな感じか。あんま変わんねーな」とぐるりと見回し窓の外を見て零したのは丸井だ。というか、一応女子の部屋なのに躊躇ないなお前達。出入り口で止まってる柳生くんとジャッカルを見習い給え。


「ジャッカル達は何号室なの?」
「305。この上」
「畳だった?」
「畳、畳。あれだろ?布団並べて寝るんだろぃ?」
「そうそう。ジャッカルって布団で寝るの初めて?」
「俺小学校の修学旅行以来なんだけど!」

振り返った丸井がキラキラした目でこっちを見てくる。お前じゃねーよ、とジャッカルと心の中でつっこみながら苦労性のスキンヘッドを見やれば「いや、俺んち布団」と返され、みんなで「えええっ?!」と叫んだ。どんだけ日本フューチャーしてんだよ!


「あ、もしかして部屋割りってこの4人?」
「はい。幸村くんと柳くん真田くんが同室で302号室です」
「うわ。3強じゃん」
近寄りたくないわーと肩を竦めれば皆瀬さん以外が大きく頷いていた。

「問題なのはその隣だよぃ。片方は別の宿泊客らしいけど、もう片方が赤也達の部屋なんだぜ」
「うわー…それはご愁傷様」

勿論赤也がね。どうやら同じ部屋に西田もいるらしいけどストッパーにはなれないだろう。丸井達と同室じゃない分だけまだ落ち着いてそうだけど隣が隣なだけに少し心配だ。


「あ!ちょっと仁王くん!!それ私のお菓子!!」
「プリ」

バリっと袋を開ける音に振り返れば、自分の部屋のように寛いでる仁王がテーブルに出していたのおやつを早速食べている。
お前、断りくらい入れろよ、とつっこんだが「お前さんも食うか?」とさも自分のお菓子のようにに差し出してくる。いやだからそれ私のだから!少しは遠慮しろ!特に丸井!!



「痛い痛い!押し付けてくるな!」

わかった、食べるから!!口にぐりぐり押し付けてくる仁王に不承不承口を開けて食べると、居座る丸井達に諦めて中に入ったジャッカルがぎょっとした顔でこちらを見ている。


、お前そういうの抵抗ねぇの?」
「抵抗も何も無理矢理食べさせられたんだけど」

いうなら仁王の方じゃないの?とじと目で詐欺師を見やれば、また口にじゃが〇こを押し付けてきたので仕方なく口を開いた。

「…何か気味悪い光景だよな」
「丸井…何気に失礼だよねアンタ」
「仁王。を餌付けしてどーすんの?」
「…あ。考えとらんかった」
「アンタね…」

動物に餌やるだけやって放置する観光客かよ。ムッとしても備え付けであった茶請けのせんべいを手に取ると中身を出して仁王の口に突っ込んでやった。フッせんべいが大きくて食べにくかろう。


「青学はその上の階だっけ?」
「3階と4階に分かれてるらしいですよ」

先程ゲーセンで桃城くん達を見ました。と皆瀬さんの隣でメガネのブリッジをあげる柳生くんが答えると「おもしれーもんなかったけどな」と丸井が続けた。既にゲーセンは覗いたらしい。
こういうところにあるゲームは大抵レトロなやつだから丸井達が楽しめるものは少ないのだろう。他に卓球台や売店の話をして、「あ、」と皆瀬さんが手を叩いた。


「そういえばここって露天風呂もあるんだって。ちゃん、後で行こうよ!!」
「いいね!行こう行こう!」

今日は晴れてるし星も綺麗に見えるかも、と盛り上がっていると腕を肘でつつかれ何?と視線を仁王に向けた。丁度話が割れていて丸井達は別の話をしていたのだが仁王はニヤついた顔で柳生くんを見るように視線を動かしている。柳生くん?と視線を向ければ何でか顔を赤くしていた。


「皆瀬の裸を想像して赤くなっとるんぜよ」
「仁王くん?!何か言いましたか?!」

こそこそと耳打ちした仁王の言葉が聞こえたのか、柳生くんは顔を赤くしたままプンスカ怒っている。赤い顔じゃあ威厳も何もないよね。そんな顔でも見ていれば「さん!仁王くんの言葉を鵜呑みにしないでください!!」と私まで怒られた。



「いやいや、別に悪口じゃないよ?ね、仁王くん」
「そうじゃそうじゃ。柳生、自意識過剰じゃなか?」
「うっ…」
「俺は何で柳生の顔が赤いのかに聞いとっただけじゃよ」
「ううっ…」
「?本当だ。ヒロシ何でお前顔赤いの?」
「風邪か?」
「ちっちがいましゅ!」

柳生くんの顔色に気づいた丸井達も視線を向けてきたので紳士は慌てて言い繕おうとしたが途中で声が裏返ってしまった。

それを目の前で見てしまったは思わず吹きかけたがなんとか堪えた。しかし仁王は我慢できなかったようで顔を後ろに向けると、の肩に顔を押し付け見えないように笑った。身体が揺れて柳生君にバレバレだったけどな!

しかも仁王のせいで柳生くんが益々顔を赤くするから、首のくすぐったさも相まっても吹き出してしまった。


「あーっ!!やっぱりここにいた!!つーか俺だけ置いてくなんてヒドイじゃないっスかー!!」


激しいノック音にジャッカルが応対するとドアを開けるなり赤也が大声を上げて中に入ってくる。それを視界の端に捉えていたが、笑いを治めることができないは手で口を隠しても隠し切れなかった。きっと笑い転げてる仁王がいるからだ。

泣きそうな顔で眉尻を下げてる柳生くんにハッとなって、笑うな!と仁王の腹を叩いたが奴は寝転がった身体を丸めて柳生くんから見えないように大きな身体を隠すだけだった。隠れてないけどな!というか、私を盾にするのやめてくれませんかね!


「ぎゃーっ仁王先輩何やってんスか!ちょ!先輩も笑ってないで逃げてくださいよ!!」
「わ、笑ってないよ!つーか、逃げるって何?」
「仁王先輩に触られてたら妊娠す…いで!!」
「何言っとるんじゃ。マセガキが」

肩を震わせながらのお腹辺りに手を回して後ろに隠れる仁王に内心ぎょっとしながらも何でもない風に装っていれば、と丸井の間に座り込んできた赤也が必死になって仁王を引き離しにかかった。
慌てる赤也に丸井はニヤニヤしてたけど妊娠発言にはさすがのもぎょっとして赤也を見てしまう。そしたら丁度赤也が仁王に叩かれたところだった。



「そ、そういえばプレイスタイル別の練習どうだった?」
「そこそこ面白いぜ。同じ部活でもああやってスタイル別に練習なんて滅多にねーから結構タメになる」
「そうですね。こちらはダブルスで練習してみたのですがいい経験をさせてもらいました」
「そうかー?俺はずっと後ろが気になってそれどころじゃなかったぜぃ。未だに背中がチクチクして違和感あるんだけど」

同じ班の柳生くんと丸井はそれぞれ菊丸くんと乾くんと組んでダブルスをしたらしいが乾くんと組んだ丸井はずっと視線を感じていたらしい。
「乾くんデータマンだからね」と気軽に皆瀬さんは笑っていたが丸井の顔は引き笑いだった。


「俺はもーやだっスよ。あの人性格変わりすぎ…しんどいっス」
「あー河村くんね。赤也くん走りっぱなしだったもんね」
「そーなんスよー!ラケット持った途端コーチ面してガンガンボール飛ばしてくるんスよ?!」
「いいじゃんスパルタ」
「あれはスパルタじゃないっス。虐待っス」

ゲンナリ気味に肩を落とす赤也に達は顔を見合わせ小さく笑うと慰めるように肩を叩いてやった。しかしそれをむっつり顔で払われた。可愛くないなお前。


ちなみに仁王は笑いは引っ込めたが寝転んだままである。赤也がなんとか仁王を引き離そうと躍起になっていたが回された腕は一向に離れなくて最終的に諦めた形だ。

お腹に回ったまま動かない腕にもしかして練習疲れで寝たかな?と思いながら寄りかかると「ぐぇ、」という声が聞こえた。一応起きてるらしい。


「いい背凭れじゃ」と冗談で丁度いい場所にあった仁王の頭に肘を置けば、お腹に回ってた腕に力を入れてきて危うく胴体が切り離されるところだった。くそぅ、そこまで寄りかかってないのに何この仕打ち。しかも詐欺師起きないし。

そこにいたら寄りかかってもいいってことじゃないの?!と銀色の髪の毛を掻き混ぜればまたお腹を圧迫され悶絶する。そんなことを繰り返していたら丸井に『バカじゃねーの?』という冷たい目線で見られた。



「諦めろ赤也。明日はその班対抗のチーム戦らしいぜ」
「うげっマジっスか?!」
「そうみたいですね。皆瀬さん、試合は総当たり戦なんですか?」
「一応それで組むみたいだよ」
「ノルマは3勝だっけ?」
「負けたチームにはなにかあんのか?」
「最下位には罰ゲームあるらしいよ」
「そしたら俺達のチームが1番ヤバイじゃないっスか!!」

最悪!!と嘆く赤也にそういえば赤也のチームは立海青学合わせてレギュラー3人だっけ、と思った。


「そうはいうが人数いても無事3勝できるかわかんねーぜ?なんせ幸村のチームには曲者しかいねーかんな」
「真田は曲者っていうか直球だけどね」
「それに手塚と越前だろぃ?仁王が対戦相手とかやりたくねーわ」

こいつらで優勝決定じゃね?と投げやりに零した丸井はそのまま寝転んだ。


「つーか、何で青学と合宿なんスか?!いつもなら高校の先輩とじゃないっスか」
「何か冬休みにある合宿で先輩達が別メニューで練習してるらしいぜ。日本代表がどうのっていってなかったっけ?」
「それもあっけど今回の合宿、青学からオファーあったんだろ?」
「うん。青学がマネジ入れたいからその参考にって呼ばれたんだよね、ちゃん」
「うん、まぁね」
「はぁ?なんスか、それ(体よく先輩達呼び出して、自分達の面倒を見てもらおうってことじゃねーの?)。つか女テニいるんだからそっちにマネジ聞けばいいじゃねぇっスか」
「女テニにもマネジいないからこっちに聞いたんでしょ?」
「嘘クセー」

と丸井の間で愚痴を零すと「高校の屋内コートでやりたかったー」と本音を吐いた。高校の先輩というよりはテニス部コートの方が気になってるらしい。


「…ともあれ、その話を聞いて、それなら練習試合でもどうだ?と幸村くんが振って今回の合宿が実現したようですよ」
「ふぅん。さすが幸村くんだな」
「でなきゃ貸し出しするわけねぇっスからね」
「おい。いつアンタに貸し出し許可を貰わなきゃいけなくなったんだよ」



丸井と赤也がそれとなくガッツポーズをとってるのを尻目に「私らは図書室の本か」、とつっこめば「俺部長ですもん」と胸を張ってきた。未だに幸村を「部長」と言ってる奴が何を言うか。

生意気、と頬を摘めば「いでーっ!!」と必要以上に叫ばれあまりの煩さにベシっと頭を叩いた。そしたら余計に痛がり皆瀬さんのところに泣きついた。いつもの光景だがイラッとする上に地味に傷つくから辛い。私そこまで凶暴女じゃないんだけど。


「あ、そだ。さ、青学に何か恐れられてたけど結局何したの?」
「いや、何もしてないし」

寝そべったまま、とうとうが持ってきたお菓子を抱えて食べだす丸井を不満げな顔で見やったが、奴は平然と違う話を振ってきた。その話は私が勘弁してほしい。
先程怪我した子を手当したら妙に驚かれ、妙にキラキラとした目で見られて、妙に観察するような目を向けてきて、不気味なものを見る目で見てくる青学メンバーに背中が凝り固まってしまっていた。

どうやら自分がいつもしてることは普通ではないらしい。乾くんが嬉しそうにノートを書き込んでるのを見てしみじみ思った。


「…私、変なのかなー」
「まあ変じゃね?」
「普通じゃねぇっスね」
「アンタ達には聞いてねーよ」

ろくなことを言わない赤髪とワカメを睨みつけては溜息を吐いた。「ただ、怪我してる子がいたから教えただけなんだけど」といえば丸井に呆れた顔で「ばっかだなー」と吐き捨てられた。

「そんなん最初から言い当てられたら誰だってビビんだろぃ」
「え、だって放っておいたら酷くなるじゃん」
「そーだけど、初対面でそれってこえーだろ」
「うー…そうなのか」

よかれと思っていったんだけどな、と頭を垂れると起き上がった丸井が頬杖をついてこちらに顔を近づけた。



「あのさ。俺達なんだかんだ言っても全国区だぜ?そん中にお前もいんの。自分がどんだけスゲーとこにいるかわかってんの?」
「わかってるつもりだけど…」
「俺達が吐く程厳しい練習を毎日してる中でもついてきて、マネージャーの仕事してるだろ?やってるメニューは違くても辞めずにここにいるってことはそれなりに力があるってことだろ」
「そうそ。それに今迄マネージャー候補たくさん見てきたけど真田のあのでかい声にもへこたれないで生き残ったの同学年じゃ皆瀬とお前くらいだしな」
「……」
「それにちゃんは大勢の平部員面倒見てるから、周辺視野と洞察力はかなり鍛えられてると思うよ」

私も時々驚くことあるし。と言われては頬を赤く染めた。そんなつもりでいったんじゃないんだけど…皆瀬さんにまでいわれると照れるな。
「そうかな?」と頭を掻くと柳生くんも乗っかって「青学はマネージャー自体いなかったわけですし、慣れていけばきっと理解してくれますよ」と付け加えてくれた。


「…つーか、青学なんか放っておけばよかったんスよ」

怪我なんて自己管理ができてねー証拠じゃないっスか。口を尖らせる赤也に呆れた顔で見てしまったが、何故か男達が同意するような空気を見せたので「え?」と首を傾げた。

「何言ってんの。赤也だって勝手に怪我してくるじゃない」
「俺はいいんスよ。…手当てしてもらう為なんスから
「え?」
「っな!なんでもねーっスよ!つかそれより先輩!青学の奴らと話し過ぎじゃねーっスか?」
「はあ?何いってんの」
「あんま話すなっつってんですよ」
「話すなって、それ無理でしょ」

無言でドリンク渡したらそれこそ失礼じゃん。「少しは皆瀬先輩見習ってください」って!お前が言うなよ。知ってるよ!


「別に余計なこと駄弁ってなかったんだけど。それもするなってこと?」
「少なくともあいつらとはしなくていいっス」

そりゃ見本となるように氷帝みたいに無駄話せずキビキビ動けた方が格好いいだろうけど、でもそれじゃ息詰まるじゃん?楽しくないじゃん?話してわかることだってあるだろうしコミニケーションしたいじゃない。



そういうところばっかり部長らしくなりやがって。と引き気味で赤也を見れば奴はいつものように「なんスか!!」と目をつり上げて吠えてくる。煩い小型犬だ。

「必要なら話すし、今回はその為に来たんだから話すなっていう方が無理。諦めて」
「とかいって、早速手塚さんに嫌われてるじゃねーっスか」
「は?何いってんの?」
「あの人、スッゲー嫌そうに先輩見てたっスよ」
「うっ…」

こいつ、人が気にしてることを…っ


実はそんな顔をしてる手塚くんを赤也がこれでもかと睨んでいたのだが、そんなことをが全然知るはずもなく、否定できずに視線を逸らした。

確かに不二くんとの会話はまずかったように思う。あれは傍から見ても酷い気がする。いくら言われ慣れてるとしても面と向かって『老け顔』はないだろう。弦一郎だってへこむレベルだ。
後で謝ってくべきかな…と考えを巡らせていると「つー訳で、先輩は青学と話すの禁止ってことで」と何でか赤也が決めていた。


「そういえば赤也くんの部屋の隣って蓮二くん達なんだって?」

気を使ってくれた皆瀬さんがやんわり口を挟むと赤也は待ってましたと言わんばかりに彼女を見て「そーなんスよーっ!」と今にも泣きそうな顔でから視線を逸らした。都合のいい奴だな。


「ありえねーっスよ。しかも騒いだら強制的に部長達と同じ部屋だ、とかいわれてマジありえねーっス」
「間違いなく同じ部屋だな」
「まあそうだろうな」
「先輩達!嫌な予言しないでくださいよ!!」

1人だけ外に放り出されたような絶望した顔で肩を震わせる赤也に、丸井とジャッカルがつっこむとワカメは今にも泣きそうな声を出す。そんな顔するから丸井が喜ぶのに…わかってないなぁ。


「本当マジどうにかしてくださいよ、先輩」
「そこで私に振るのかよ」
「だって、こ、この部屋、あと2人……ね、寝れるじゃ、ないっスか…」
「は?」
「だ、だから…その、…俺をここで寝



青かった顔を一気に赤くした赤也がモゴモゴと何か言ったようだがテーブルを挟んだには聞き取れなかった。

さすがに隣にいた皆瀬さんにはばっちり聞こえたらしく、彼女が苦笑している。一体何をいったんだ?と聞こうとしたら丸井とジャッカルと、何でか柳生くんまで赤也を叩いた。
さすがのも驚き、柳生くん?!と目を見開けば「いっで!!にお先輩っ足蹴りやめてください!!」と仁王まで参加していた。起きてたのかよ。




にゃんにゃん仁王。寒いので甘えたがりです。にゃんにゃん(笑)
2013.06.13